7月3日(土)、ブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』の製作発表が行なわれた。
本作は、トニー賞3部門受賞を受賞した、コール・ポーター作詞作曲の音楽で彩られるミュージカル・コメディ。日本では1989年に初演され、大好評を博した。以降、再演を重ねてきた本作は、今回は8年ぶりの上演で演出・キャストを一新。演出には宝塚歌劇団の新鋭原田諒、ニューヨークで一番のナイトクラブの大スター、主演のリノ・スウィーニー役には、宝塚歌劇団退団後、ミュージカル初出演となる紅ゆずるを迎えての再演となる。
製作発表は、ミュージカルの舞台でもある船上に合わせ、横浜に停泊中のにっぽん丸にて行なわれた。登壇したのは、演出の原田、主演の紅に加え、大野拓朗、廣瀬友祐、愛加あゆ、一路真輝、平野綾、市川猿弥、陣内孝則の9名。
原田は、作品について、「このようなコロナ禍の状況の中ですけれども、暗い時代を打破するだけのすごく楽しい明るい作品です」「コール・ポーターのジャズの魅力がふんだんに織り込まれたブロードウェイらしいブロードウェイ・ミュージカル作品」とアピール。また、以前から、次にやりたい作品、として本作を挙げていたそうで、「10年ぶりに夢が叶った」と作品に対する想いも話した。
また、紅は「男役の時には見せることのなかった、見たことのなかった部分が詰まっている」「よし、やってみよう!と思って取り組んでいます」と熱意を露わに語った。
陣内が「ミュージカル俳優の、陣内孝則です」と笑いを誘い、歌舞伎界から参戦する市川が「少しでも爪痕を残して帰れるように」と話すなど、早速場内が湧く。その中で、一路が「初演も再演も全部観せていただいて、自分のコンサートでも歌っていたりする」と憧れの本作に出演できる喜びをしっとりと語る。
大野は「何も考えずにたくさん笑って元気をもらえる作品」、廣瀬は「素敵な作品をお客様に届けられるようにカンパニーの一員として精一杯頑張りたいと思います」と、それぞれ真っ直ぐな想いを伝えた。
平野は子供の頃から憧れたブロードウェイらしさの詰まった、本作に関われることに「とても嬉しいです!」と目を輝かせ、愛加は宝塚時代にもタッグを組んだ演出の原田と再び作品を作れることの喜びをにじませる。
そんな最初の挨拶だけでも、キャストそれぞれの個性が溢れた時間となった。
他にも、紅は、「リノと私はとても近い」と話し、これまで男役をやっていたことには囚われず、「リノという役が私なのか、私がリノなのか、というところまで突き詰めたい」と頼もしく意気込んだ。
『エニシング・ゴーズ』というタイトルから、“エニシング・ゴーズ”(何でもあり、自由気まま)なエピソードは?との質問が飛ぶと、一路が、近年幅広い役と巡り合えたとのことから「何でもこれから演りたい」と演劇人らしい回答をする一方、紅が「基本的に私自身が“何でもアリ”なんですよね!」と話したり、愛加や大野が旅先でのエピソードを披露して笑いを巻き起こしたり、ここでも、キャストらの個性が光る。
最後には、本作のタイトルナンバー「エニシング・ゴーズ」の歌唱披露。紅の軽快な歌声に、大野、廣瀬、愛加、一路、平野、市川、陣内のコーラスが加わり、まさに、最初に原田が述べた、「暗い時代を打破する」ような本作の明るさが垣間見えた。
紅は、「前向きな気持ちになっていただけるようなブロードウェイ・ミュージカルにしていきます。皆さまどうかご期待くださいませ!」と締めくくった。
製作発表では、終始キャストそれぞれの個性が色濃く感じられ、まさに、“エニシング・ゴーズ 何でもアリ!”なカンパニーの絶妙なバランスの良さが伝わってきた。そんな本作は、8月1日に明治座で開幕する。このような状況下だからこそ、最高に明るい本作で、ぜひ心を解放して欲しい。
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【Stage Information】
ブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』
【公演期間】
東京・明治座 2021年8月1日(日)〜29日(日)
名古屋・御園座 2021年9月4日(土)〜12日(日)
大阪・新歌舞伎座 2021年9月17日(金)〜26日(日)
福岡・博多座 2021年9月30日(木)〜10月5日(火)
作詞・作曲:コール・ポーター
オリジナル脚本:P.G.ウドハウス&ガイ・ボルトン/ハワード・リンゼイ&ラッセル・クラウス
新脚本:ティモシー・クラウス&ジョン・ワイドマン
翻訳・訳詞:青井陽治
演出・潤色:原田諒(宝塚歌劇団)
出演: 紅ゆずる 大野拓朗 廣瀬友祐 愛加あゆ 一路真輝 平野綾 市川猿弥 陣内孝則
©ミュージカル『エニシング・ゴーズ』実行委員会
公式サイト:https://anythinggoes2021.com/
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