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    2022年6月10日 OOPARTS『D-river』がCS衛星劇場で放送! 鈴井貴之 スペシャルインタビュー!!
    ©CREATIVE OFFICE CUE

     

     今年2月に東京、大阪、北海道で上演された鈴井貴之による演劇プロジェクトOOPARTSの舞台第6弾『D-river』が、6月12日、CS衛星劇場にて放送される。脚本・演出を手がけた鈴井貴之氏に話を伺った。

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    ■今作は、人間とAIの共存がテーマでした。あらためて、どういった想いでその構想に至ったのか、お聞かせいただけますか?

    「実生活の中で、AIが、至る所に搭載されているんですよね。炊飯器さえもAI搭載と謳われていたりしていて。今回は自動車運転というところに着目して、現在のアシスト運転機能を搭載した車に乗っている方に話を伺うと、ものすごい性能だとおっしゃるんですよ。高速道路での走行ではウィンカーを出したら自動で曲がってくれるし、車間距離も感知してセーブしてくれるという意味では、運転がすごい楽になったという話だったんです。自動運転じゃなくても、新しくなればなるほど性能がすごくよくなっていて。その一方で、自動運転に頼ることによって人間は、運転が下手になってきたなと思うんですよ。僕自身も最新機能の車なら、たとえば縦列駐車もガイドラインどおりにやれば一発でできるけど、古い車に乗ると、何度も切り替えしてやっと駐車するってことが多々あるわけです(笑)。AIによって人間の生活は楽になるけど、人間が開花することにはならないだろうという疑問が浮かんできたことによって、今回のテーマに至ったわけです」

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    ■ご自身はAI、または機械に頼っている部分はおありでしょうか?

    「僕ね、意外と機械は信用してないんですよ(笑)」

    ■あ、そうなんですか?

    「絶対に壊れるだろうと思いながら扱っているので。だから遊園地とか苦手なんですよね。ジェットコースターとか、高低差が怖いとかそういうんじゃなくて、車輪が外れるんじゃないか?とか、そっちの不安というか信用したくないというところがありまして。だから常に機械に触るときは危険を感じています(笑)。ですから劇中の渡辺いっけいさんの言動には、僕の想いが投影されていると思いますよ」

    ■そうでしたか(笑)。では、公演中のお客さんの反応はいかがでしたか?

    「自分で言うのも憚れるのですが、幕が開いたらすこぶるよかったですよ。マスク着用ではありましたけど、ちゃんと笑い声も届いていましたしね。もともと稽古場から大丈夫だろうと確信はありましたし、そもそもこのキャストですから、不安はありませんでした。ただ、東京公演時に、なんで(コロナが)ピークになってしまったんだ?っていうね。正直、ここまで長引くとは思っていませんでしたし。でもいくつかの舞台が中止になったり延期になったりしている中、全公演完走できたのは運がよかったのかな?とは思います」

    ■あらためて、演劇空間の素晴らしさを実感できたのではないかと思いますが。

    「そうですね。久しぶりに劇場に来ましたという声も多かったですし、さらには、来るのにかなりの覚悟をして参りましたという声もありました。その一方で、チケットを買ったんだけど直前で断念しましたという方もいらっしゃいましたので、チケットは売れていても空席が目立つということは感じていました。だけど、今までとは空席の意味が違うなという気がして。本来そこにいらっしゃるはずだった方のことを想うと、きっと悔しい想いをされていたのではないかな?とか、空席からのメッセージが聴こえるというのは、初めて感じたことだったんですよね。ですから最終公演で、“またぜひお会いしましょう”とお伝えしたんです」

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    ■そんな想いがあったのですね。

    「実は前回の『リ・リ・リストラ~仁義ある戦い・ハンバーガー代理戦争』で、舞台はもういいかな?と思ったんですね。OOPARTSは閉めようかな?って。体力の限界だとか気力とか、いろんなことを考えて、周りのスタッフには今回の『D-river』で最後かもしれないよと伝えた上でスタートしたんですよ。それが実際に劇場の空席を見たことによって、そしていろんな方からの待ち望んでくださっていたという想いを知り、これは今終わりにするわけにはいかないなっていう、逆に強い想いが溢れ出ましたのでね。また何年かかるかわかりませんけど、マスクとか着用無しで何の気兼ねもなく足を運んでもらえる状況で、必ず上演したいなという気持ちになりました。…という意味でも、『D-river』という作品をやってよかったなと思いました」

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    ■そのお気持ちを聞けて嬉しいです。もう少し時間を遡りますと、コロナ禍でのお稽古も大変だったと思います。鈴井さんご自身も、ウィークリーマンション暮らしで愛犬とも会えない生活を強いられていたとか。

    「ちょっと寂しかったりもしましたが、北海道でレギュラー番組があるので2週間に1度くらいは戻っていたんですよ。なので僕というよりは犬のほうが大変でしたね。(飼い主である鈴井氏に会えず)情緒不安定になった子がいたらしいです」

    ■そんなコロナ禍の状況でも、お稽古中は胸躍る出来事であったり、ほっこりする場面もあったのではないですか?

    「本当に心配ばかりでしたからね。定期的に受けるPCR検査でも、誰か(陽性者が)出ちゃったら大変だとかね。そんな中でも、今回主演の渡辺いっけいさんが、稽古初日から全力で来てくれるわけですよ。手探り状態じゃなくて、駆け引きとかそんなのも無しで。いっけいさんとは一度ご一緒させていただいているというのが大きいとは思うんですけどね」

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    ■2016年の『HAUNTED HOUSE』で主演されていますね。

    「僕といっけいさんが年長者で、温水洋一さんや田中要次さんなど他のみなさんもキャリアのある方ばかりなんですよね。そんな中、いっけいさんが全力を出せばみんなも元気全開でやってくださるわけですよ(笑)。ですから前段階でかなりお芝居が固まってきていましたね。あとは稽古じゃないんですけど、劇場に入ってからですね、夜公演の日に昼間の時間があるので、力配分50%くらいでちょっと確認という意味でランスルーやりましょうとなった時でも、いっけいさんは100%の力で汗を流していて。で、終わった後、いっけいさんが僕に“鈴井さん、僕は50%とかできないんですわ”って(笑)。“常に100しかない俺”みたいな。そんなふうに僕に言ったのが印象的でしたね」

    ■(笑)素晴らしい役者さんですね。

    「そういう方がいらっしゃるから、“これでいいんだ”という感じにはならないんですよ。日に日にどんどん面白くしてくださったなと思います」

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    ■出演者のみなさん、舟木健さん以外は50代以上ですね。それは敢えてのキャスティングだったのでしょうか?

    「そうですね。自分も年齢的にはその先頭にいますのでね。まぁある意味、おっさんばっかりだったらチケット売れないんじゃないか? もっと若いキャスティングしろよとかいった意見は、どこの世界でも耳にすることだと思いますけど、でもそういうことよりも、しっかりとお芝居ができる方たちと、完成度の高いと言いましょうか、そういう舞台を創りたいなという想いが先に立っていますから、そうなると必然的にキャリアがあって演技力のある方ってなると、このメンバーだった。というのと、全員何らかの形でお仕事でご一緒させていただいた方々で、初めましての方がいなかったんですよ。ですから僕がこういうことをリクエストするだろうなってことも皆さまきっとわかってるし、皆さまもきっとこうやってくださるだろうなっていうのも、僕が演出上想定できるという関係性で創りたいというところでスタートしましたので、やりやすかったんです」

    ■鈴井さんご自身は、劇中で会社の部長を演じていらっしゃいました。下請け会社を軽く見下していたり、人間同士のしがらみであったり、そんな人間関係の構図というのは、世の中へのメッセージでもあったのですか?

    「メッセージまではいかないですけど、そういうのはあるだろうな、というのは、皆さん経験なさっていると思いますし、僕自身もこういう経験をいっぱいしてきましたからね。ある意味、ステレオタイプのよくある話だと思いますよ。僕個人としては、すごく嫌なヤツをやりたかったというのがありまして、だったら、こういう役だろうな、という想像から始まっています」

    ■本作を楽しく拝見させていただいたのですが、話に引き込まれていくうちに、温水さんが、だんだんとかわいらしく見えてきたのが印象深かったです。

    「(笑)観てくださった方が、そう感じてもらえればいいなと思っていましたし、稽古でもそうだったんですよ。こう言っては失礼かもしれませんが、だんだんとチャーミングに見えてきていましたね。なんというか、マスコットキャラクターのような存在で、稽古場を和ませてくださいました」

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    ■観客の皆さんはもちろん、人との交流は大切な時間となったのではないでしょうか?

    「そうですね。お客さんはもちろん、その前に俳優の皆さん、スタッフの皆さんも、いろんな人たちが関わってこの舞台というものが成立しているわけですからね。いろんな考えを持っている方と交流することによって、新しい気づきであったり、自分をステップアップさせる要因になったり、そういうことが多くあるなということは感じました。さらには、実際にやった舞台の中でも、ここは笑いが起こるだろうと想定している部分とは全く別の部分で笑いが起こったりして、“お客さんはこういうところもくみ取ってくれるんだな”とか、多々あったわけですよ。そういう意味でも1人よがりにならない、自分だけではないんだという気づきがたくさんありましたし、そういう関りがあることによって、人は成長していくんだろうなということは、強く思いました」

    ■CS衛星劇場での放送にあたって、見どころなどありましたらお願いします。

    「放送になると、客席で観るよりもアップの表情であったり、細かく観られる部分がたくさんあると思いますので、一度劇場でご覧になっている方でも、新しい発見があると思います。カット割りになるので、初見の方も、こんな雰囲気で展開していったんだなということも伝わると思いますね。ぜひお楽しみいただきたいです」

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    ■最後に、2022年後半にやりたいこと、挑戦したいことがありましたら、お願いします。

    「細かいことはいっぱいありますけど、今年というか今後、本を書きたいですね。エッセイ的なものと、もう1つは物語。もう1つは、“なぜ僕は森で生活をしているのか?”っていう、経験してきたことや感じたことを文章で出せればいいな~と。今年の後半に書かなきゃな~と思っています。出版関係の方、よろしくお願いします(笑)」

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    【プロフィール】


    鈴井貴之

    大学在籍中に演劇の世界に入り、1990年に劇団「OOPARTS」を結成。 「OOPARTS」解散後は、タレント・構成作家としてHTB「水曜どうでしょう」などの数々の番組の企画・出演に携わる。
    2010年、「OOPARTS」再始動。2021年までに6作の舞台公演を上演、表現の枠にとらわれない作品を生み出している。
    所属事務所クリエイティブオフィスキューのタレントが総出演する「CUE DREAM JAM-BOREE」が7月30日(土)、31日(日)に札幌市「北海きたえーる」での開催が決定している。

    公式HP:

    https://www.office-cue.com/profile_media/profile.php?t=1

    「CUE DREAM JAM-BOREE」
    https://www.office-cue.com/cdj/


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    【STAGE Information】

    ©CREATIVE OFFICE CUE

    TAKAYUKI SUZUI PROJECT
    OOPARTS vol.6 「D-river(ドライバー)

    CS衛星劇場にて 6月12日(日)午後4:00~6:15 テレビ初放送!!
    https://www.eigeki.com/series/S73661


    2022年2月5日~2月13日/東京・サンシャイン劇場ほか
    作・演出:鈴井貴之
    出演:渡辺いっけい、温水洋一、田中要次、竹井亮介、大内厚雄、舟木健(NORD)、藤村忠寿(北海道テレビ)、鈴井貴之

    人間は人工知能AI(愛)と共存出来るのか!?
    最後の最後までロボットを信用できるのか?

    鈴井貴之によるプロジェクト「OOPARTS(オーパーツ)」の舞台作品第6弾は、人間とAIの共存をテーマにした物語。渡辺いっけい、温水洋一、田中要次、竹井亮介、大内厚雄、舟木健(NORD)、藤村忠寿、鈴井貴之といった個性豊かなキャストが集結!

    【あらすじ】
    何をするのかも分からず、約束されたのは高額な報酬だけ。指示があるまま用意された自動車に乗るも、一人はペーパードライバー、一人は免停中、もう一人は免許すら持っていない。ただその車は最新の自動運転装置を備え、目を瞑っても運転できるという。その目的も、目的地もわからないまま、三人の懐疑心を乗せ車は発進する。さらに「ドライバーが最新の人工知能を搭載したロボットであったなら?」という、もう一つのミッションが存在。3人のうち1人はその命題を実証するためのロボットだったのだ。人間と遜色ないその姿に、ロボットと認められない、ロボットであることすら信用できない男たち。ますます膨らむ懐疑心と共に、男たちはどこへ向かうのか…。

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    ●衛星劇場のご視聴はこちらから
    https://www.eigeki.com/page/howto

    ●衛星劇場カスタマーセンター 0570-001-444
    【受付時間】10:00~20:00(年中無休)
    (IP電話専用 03-6741-7535)



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    Text ⇒ 三沢千晶
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    fabulous act Vol.13では、鈴井貴之さんのロングインタビューを掲載!
    こちらもぜひチェックを♪


    https://awesomemagazine.jp/2021/12/12/fabulous-act-vol-13/