芸能事務所「スターダストプロモーション」に所属する男性アーティスト集団“恵比寿学園男子部”、通称“EBiDAN(エビダン)”によるライヴイベント『EBiDAN THE LIVE UNIVERSE 2023』が、8月11、12日の2日間、3公演、国立代々木競技場 第一体育館にて行われた。
昨年、結成当初からEBiDANをけん引してきたDISH//が卒業し、今年は超特急、M!LK、SUPER★DRAGON、さくらしめじ、ONE N’ ONLY、原因は自分にある。、BUDDiiSに、8月16日にメジャー・デビューを果たしたICExと4月29日にデビューしたLienelという新グループが2組加わり、9グループ、総勢59人が出演。それぞれのグループのパフォーマンスはもちろんのこと、このイベントでしか見ることのできないグループの垣根を超えたユニットでの楽曲も多数披露され、集まったファン達を楽しませた。ここでは「Love & Communication」のテーマのもとに行われた1公演目の模様をレポートする。
オープニングは豪華に全出演者がメインステージに登場し、EBiDANの最新曲「Stage of the Universe」で幕を開ける。クールなダンスナンバーをそれぞれのグループのメンバーが歌い継ぎ、サビで全員が一斉に同じ振付で踊る姿は圧巻! EBiDANの成長ぶりが実以て感じられる。
「さあ、今年も始まりました」とリョウガ(超特急)が口火を切り「楽しんでるかい!」と煽ると、客席から大きな声が返ってくる。昨年は叶わなかったコール&レスポンスも戻ってきて、より一層、会場のボルテージも上がる。続いて、それぞれのグループの代表者が一言ずつ挨拶。今回、山中柔太朗が体調不良のため欠席となったM!LKは、佐野勇斗が山中の代わりに小さなぬいぐるみを持ち、髪の毛をあげると頭に「ごめんね」と書いてあるというちょっとした笑いも交えた謝罪を。同じく伊藤壮吾を欠いた9人組のSUPER★DRAGONは「8人でも盛り上げたい」(飯島颯)と決意を語る。
前半戦は、Lienelから結成年数が短い順に9グループが「Love & Communication」のテーマに添った持ち曲を1曲ずつ披露していく。ICExはリリースを直前に控えたメジャー・デビュー曲「CANDY」を、全身アイスブルーの衣装を纏ってフレッシュにパフォーマンス。一方、EBiDAN最年長の超特急は、ライブ定番曲「超えてアバンチュール」で客席にヘドバンを起こし、まさに彼らの真骨頂とも言える盛り上げ方で一体感を作る。
各グループの色を見せたところで、中盤はお待ちかねのグループの枠を取っ払ったコーナーへ。まずはBUDDiiS「Under The Sea」とSUPER★DRAGON「Mada’ Mada’」を、例えばBUDDiiSのKEVIN役を超特急のタカシがやるといったように、メンバーをシャッフルした編成で見せる。衣装はBUDDiiS、SUPER★DRAGONのものにして一体感を出すのだが、やはり人が変わると聴き慣れた曲も違う見え方、聴こえ方になるのが面白い。SUPER★DRAGONに扮した古川毅役の曽野舜太(M!LK)、池田彪馬役の髙田彪我(さくらしめじ)などは、自分達のグループではあまり見せることのない鋭い表情や、クールな身のこなしが斬新で、それぞれのグループに特徴的な色があることを再認識させられる。
“歌うま企画”では、各グループのボーカルが集い、EBiDANオリジナル曲の「Sunset」を歌唱。全員が声を合わせるイントロから最高のハーモニーを奏で、普段は重なることがない組み合わせの歌声が次々と紡がれていく。単に歌が上手いだけでなく、それぞれに自身のボーカルスタイルを出しながらも調和させているところがにくい。
“キュンキュンコーナー”というゲーム企画で軽くブレイクを挟んだあとには、今春、EBiDANとしてリリースした「前略、道の上より」を披露する。オープニングはグループごとに異なる衣装を着ていたが、ここではMVでも着用していた統一されたジャケットスタイルとなり、全員がステージに並んだだけですでに壮観。火柱の上がる中、一斉に放たれる“ソイヤ”の掛け声や、太鼓の音に合わせて踏まれる力強いステップ、最後、一斉に天に向かって手を挙げるポーズなど、すべての瞬間を記録してコマ送りであとからじっくり観たいと思うようなパフォーマンスだった。
さらに、ファン参加型の形式で、今回の『EBiDAN THE LIVE』での披露を掛けて争われたユニット企画の初ステージも実施。1位の兄弟ユニット、2位の西日本ユニット、くじでその座を獲得した韓流好きユニットの3組が、それぞれの特徴を活かしたパフォーマンスで魅せる。 超特急のタクヤとONE N’ ONLYのNAOYAの草川兄弟、ONE N’ ONLYのHAYATOとBUDDiiSのFUMIYAの高尾兄弟、BUDDiiSのMORRIE と SHOOTの森兄弟という、本物の兄弟が3組もいるという奇跡もあって人気を誇った兄弟ユニットは、目を合わせたり、手を繋いだり、背中合わせになったり、各々の兄弟の絡みがある度にファンは歓喜。兄弟だけに気恥ずかしさもあっただろうが、兄弟ゆえに息の合ったパフォーマンスを見せてくれた。
ダンスが上手い面々によるダンスバトルでグループを縦断したコーナーを締めると、ついに後半戦。再び、それぞれのグループが自分達の楽曲で勝負をかける。最初のMCで髙田(さくらしめじ)が他グループのファンを「釣りに来た」とも言っていたが、EBiDANの中で“推し”を増やしてもらうことも、このイベントの重要な役割だ。
さくらしめじのバックをLienelとICExが、BUDDiiSのバックは原因は自分にある。というように、グループ同士でお互いのバックを務めながらステージを披露していき、最後、超特急の「Burn!」は、後輩達が総出でバックを務める。胸の前で手をクロスする振付が特徴の楽曲で、ステージ上でも、客席でも同じ動きが繰り返され、盛り上がりも最高潮に!
昨年、盟友のDISH//を涙で送り出し、今年は1組でEBiDANを引っ張る存在となった超特急だが、その重責をしっかり全うする。 本編ラストは今回のステージ演出も担当したユーキ(超特急)が「これからの未来、一緒に皆さんと大きなEBiDANを作っていきましょう」と呼びかけ、EBiDANオリジナル曲の「New day! New wave! 2023」を。超特急がセンターに立ち、さくらしめじが演奏を担当するという、昨年までにはなかった新たなEBiDANの姿を見せた。 アンコールでは客席に降りたり、2階席をトロッコで周ったりと、ファンと近い距離での交流も楽しみながら「恋のDing Dong」、「Believe yourself」の2曲で温かな空気を作り出す。メンバー同士もグループ関係なく混じり合い、EBiDANの輪が大きく広がっていることを感じされながら、笑顔が溢れる中でイベントの幕を下ろした。
最後に一つ、個人的に客席を見ていて嬉しくなったことを記しておきたい。観客はそれぞれに自分の“推し”のグループのペンライトを持って参戦しているのだが、自分の推しグループ以外のステージでは、可能な限りグループカラーに色を変えたり、自分の近くに来たメンバーカラーに変えたりしているのが見て取れた。そういう優しさを持ったファンが多数いることもEBiDANの魅力であり、きっと“大きなEBiDAN”への大きな一歩となっているに違いない。
(文■瀧本幸恵)