連日のように猛暑日を記録した7月の日本で、Mrs. GREEN APPLE(以下ミセス)がスタジアムツアー『ゼンジン未到とヴェルトラウム~銘銘編~』を開催。神戸と横浜で全4公演、15万人を動員した本ツアーの最終日となった7月21日の神奈川・横浜スタジアムでのライヴの模様をお届けする。
開演時刻になるとステージに設置されたLEDモニターに“ARE YOU READY?”の文字が映し出され、立ち上がるJAM’S。モニターはそのまま宇宙船のような映像に切り替わり、惑星を巡る宇宙旅行気分で見入っていると、サポートメンバーを含む6人がステージ上に現れた。ヴォーカル/ギター大森元貴は光沢のある紺のジャケットとパンツ姿にラメのアイメイク。ギターの若井滉斗は青髪にフリンジの付いたシャツとパンツ、目にもブルーのラメが光る。クールな装いの二人とは対照的に、キーボードの藤澤涼架は腰までのライトグリーンのロングヘアをいくつかに分けて編み込んだラプンツェルのような出で立ちで登場。
大森の「会いたかったぜ、ゼンジン!!」という言葉を合図に始まったオープニングナンバーは「CHEERS」。今日の日に祝杯を上げるかのように、JAM’Sが天高く拳を挙げ、今日この場所に集まった喜びを分かち合う。そのままのテンションで間髪を入れずに入った「VIP」では、会場中で〈嫌い!!〉と笑顔で叫ぶ不思議な光景が。
若井が刻む歪んだリフから地球や惑星の映像が重なって始まった「ANTENNA」では、藤澤が演奏の合間に両手を高く上げて会場を煽る。「ロマンチシズム」で拳を空に向けてジャンプをしながら〈僕らもそうさ 人間さ!!〉と歌う多幸感といったら。「ツキマシテハ」では大森もギターを持ち、重低音響くロックナンバーを披露した。
藤澤の鍵盤の音色で一瞬の涼を感じたのち、「CONFLICT」を演奏したのだが、その後のMCで「もしかして今、泣いてた?」と大森からイジられた藤澤が「危なかったー!」と笑顔で返す。若井に「もう泣いてるんじゃないかな」と突っ込まれ、「スタジアムで“CONFLICT”やってるんだって思ったらちょっと…」と涙混じりに語る藤澤だったが、高校生の大森が書いた〈未だ成されて無い事を 実らせて見せたいな〉という歌詞が、日本のバンドとして史上最年少でスタジアムツアーを成し遂げ、“前人未到”の歩みを続けるバンドの今とリンクしている奇跡には、藤澤のみならず、その場にいた多くの人に感極まるものがあっただろう。
「夏ですね!」という振りから、もはや日本の夏の定番ソングとなった「青と夏」を投下。大森はマイクをJAM’Sにむけて全員で大合唱。 水色のギターに持ち替えた若井が軽快にイントロのリフを刻んで「ライラック」が始まると、藤澤はジャンプしながらクラップをしている。直前の「青と夏」では、〈青に飛び込んで居よう〉と歌い、この曲では〈あの頃の青を覚えていよう〉と歌う。青春の真っ只中にいる人、青春を懐かしく思う人、どちらの胸にもアツく響いた。
ノスタルジックな夕焼けの映像が映し出され、ライトバンドやライトスティックが橙色に染まったところで、夕焼け空を見て子供の頃の自分と大人になった今の自分に想いを馳せる「橙」とともに、教室、夕焼け空と電柱、ひまわり、線路といった郷愁を呼ぶ映像が映し出される。ふとハマスタの空を見ると、ステージ後方のビル街の間から、ほんの少し夕焼けが残っていた。
夏祭りのようなSEが流れ、ピアノソロから始まる「点描の唄」へ。本来デュエットで歌われるこの曲を情熱を込めて大森1人で歌いきったその歌唱力の凄まじさに、会場は一瞬静まり返った。
「Blizzard」では、レーザーが会場を照らし出す。くるくると動く大森が映し出されたモニターでは、その動きに合わせて水滴が残像になるような加工がされている。清涼感溢れるこの曲で、まだ暑い夏の夜に一瞬の涼を取った。
「いくぞー!」の掛け声に会場が「オイ!オイ!オイ!」と応えて始まったロック全開の「インフェルノ」では、炎の特効が放たれた。 会場中をピンク色に染めた「私は最強」から続く「Loneliness」でも炎の特効が。ステージから離れたスタンド席にいるこちらまで熱気が伝わるのだから、ステージの暑さはどれほどだろうと思ったら、その後のMCで「アチーだろ! すごくアチかったぁ」と大森。この瞬間、日本で一番暑い場所だったに違いない。
「我々、先日新曲をリリースしました。どれだよ?って話ですよね(笑)」と、多くの新曲群の中から、パリ五輪を盛り上げるテレビ朝日系列2024スポーツ応援ソング「アポロドロス」を披露。ロック色が強いメインパートと、鍵盤やストリングスが際立った転調部分で印象が異なるこの曲では、途中で大森が花道の真ん中へスキップをするように走り歌う姿に、ミュージカルのような華やかさがあった。
革張りのソファに座り歌われた「ナハトムジーク」では、ずっと笑顔の印象だった大森が、今にも泣き出しそうな表情で情感を込めて歌う姿が印象的だった。
個人的に会場で聴けたことが一際嬉しかったのが、ドラムソロから始まった新曲「コロンブス」。藤澤はショルダーキーボードを肩に掛け、若井はギターを手に、大森と3人で笑顔を交わしながら、花道やセンターステージでパフォーマンス。しかもラストでは、なんと大森のボイパで締めるという粋な演出に、会場中がどよめいた。
「Magic」は、今ツアーで唯一撮影OKとなった曲。夢のような世界を持ち帰りたいと慌ててスマホを取り出す人、この空間を目に焼き付けて楽しもうとライトスティックを振り続ける人、どちらにしても1人ひとりの手元は光っていて、星空のように美しい光景が広がっていた。そして本編ラストの「Dear」で〈愛してる〉〈愛したい〉と歌ったのち、JAM’Sに「愛してるよ」と告げると、深くお辞儀して、3人は笑顔で一端ステージを降りた。
アンコールを求める拍手の輪が広がった頃、ツアーTシャツに着替えた3人が再びステージへ。自動車のCMでオンエア中の「familie」を歌いだし、会場から「ヤバい!」という悲鳴が聞こえた。会場にシャボン玉が無数に溢れるなか、大森はメインステージで歌い、若井はステージ下手、藤澤が上手から走り出したトロッコに乗ってアリーナの外周を回り、演奏しながら会場全体へご挨拶。彼らの表情や汗まで見える距離に、歓喜する人、2人の名前を叫ぶ人、泣く人と、それぞれの感情がほとばしる瞬間となった。
ライヴ終盤で「知っていたら歌ってくださいませ!」で披露したのは、今ツアーを大団円へと導く「ダンスホール」。大森のヴォーカルにも負けないほどの大声で歌う会場に、「良いですね。素晴らしい。拍手!」と大森。「愛情と矛先」では、ステージに戻った若井が激しいギターソロ。藤澤も全力疾走で自分の持ち場にオンタイムで戻り演奏を始めるというファインプレーもあり、興奮冷めやらぬ観客をそのままに、再び舞台を降りた3人だった。
これだけでは終わらない。彼らを呼ぶ声にステージに戻ってきた3人。
大森は会場にいる1人ひとりに感謝の気持ちを伝えたいと語り、インディーズデビュー曲で、“人との出会いを歌った楽曲”「我逢人」を演奏した。会場中の隅々まで声が響き渡り、心に沁み入る様子が伝わってくる。ここで、今年3月まで開催されたファンクラブ会員限定ツアー『Mrs. GREEN APPLE 2023-2024 FC TOUR “The White Lounge”』の映画化『Mrs. GREEN APPLE // The White Lounge ㏌ CINEMA』上映の発表も。
さらに大森から「どうですか?」と振られた藤澤は「僕は今日のこと一生忘れないと思うんだけど、みんなはどうかなぁ?」と伝え、若井に再び「いつものりょーちゃんじゃない」と笑われる。そんな若井は、大森の無茶振りのギター伴奏に即興の歌で今日の感想を乗せるというスゴ技を披露。「なんでこんな無茶振りに対応できるんだよ! 天才かよ!(笑)」と大森を驚かせていた。
「今後何があっても、愛情を持って関わってくれる人達に精一杯愛と感謝を返したい。(中略)いろんなことがあるでしょうけど、今日みたいなことがあると僕らも頑張れるね。みんなのそういう活力に僕達がどこか一部でもなれていたら本望だなと思います。ミセスでやりたいこととか、ミセスでずっとあり続けることとかは変わらないです」という所信表明のような大森の言葉の後に歌われたのは「ケセラセラ」。すべてを肯定してくれるような、慈愛に満ちた時間だった。この一瞬の幸せを胸に、明日からも頑張っていけるエネルギーをチャージできた気がした。
肩を組み、「以上、Mrs. GREEN APPLEでした!」と高らかに宣言すると、深々と頭を下げてステージを降りたミセス。このライヴがあった2024年7月21日は、世界の平均気温が観測史上最高だったという。10年の歴史のある『ゼンジン未到』シリーズのツアーで、新旧織り交ぜた全26曲を披露し、3人のエンターテイナーとしての本領を見せつけたこの日のハマスタは、間違いなく日本で一番熱い、濃厚な場所となった。
Photo:田中聖太郎・石井亜希・河村美貴・MASA・古溪一道・ヨシモリユウナ・金谷龍之介・大場暁史
Text:花倉有紀子
Mrs. GREEN APPLE ゼンジン未到とヴェルトラウム〜銘銘編〜
2024年7月6日(土) 兵庫・ノエビアスタジアム神戸
2024年7月7日(日) 兵庫・ノエビアスタジアム神戸
2024年7月20日(土) 神奈川・横浜スタジアム
2024年7月21日(日) 神奈川・横浜スタジアム
<セットリスト>
1. CHEERS
2. VIP
3. ANTENNA
4. ロマンチシズム
5. ツキマシテハ
6. CONFLICT
7. 青と夏
8. ライラック
9. 橙
10. 点描の唄
11. Blizzard
12. インフェルノ
13. 私は最強
14. Loneliness
15. アポロドロス
16. L.P
17. ナハトムジーク
18. コロンブス
19. Magic
20. Dear
En1. familie
En2. lovin’
En3. ダンスホール
En4. 愛情と矛先
W EN1. 我逢人
W EN2. ケセラセラ
◆公式プレイリスト『Mrs. GREEN APPLE ゼンジン未到とヴェルトラウム〜銘銘編〜』
Apple Music、Spotify、LINE MUSICで配信中。
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【MOVIE INFORMATION】
映画『Mrs. GREEN APPLE // The White Lounge ㏌ CINEMA』
2024年9月13日(金)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか、全国ロードショー
主演: Mrs. GREEN APPLE (大森元貴 若井滉斗 藤澤涼架)
◆公式サイト
http://thewhitelounge-movie.jp/
◆公式X
@twl_movie
◆公式TikTok
@twl_movie
【初日舞台挨拶&ライブビューイング】
<舞台挨拶>
日時: 9/13(金) 19:00 の回 上映前舞台挨拶
本会場:丸の内ピカデリー
本会場登壇者(予定・敬称略):Mrs. GREEN APPLE(大森元貴、若井滉斗、藤澤涼架)
<ライブビューイング会場>
一部上映劇場にてライブビューイング実施決定!
※本会場は丸の内ピカデリーとなります。
※ライブビューイング会場は上映前舞台挨拶の生中継後、本編上映となります。
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【LIVE INFORMATION】
『Mrs. GREEN APPLE on “Harmony”』
2024年10月5日(土) 神奈川・Kアリーナ横浜
開場16:30 / 開演18:00
2024年10月6日(日) 神奈川・Kアリーナ横浜
開場16:30 / 開演18:00
2024年10月9日(水) 神奈川・Kアリーナ横浜
開場17:30 / 開演19:00
2024年10月10日(木) 神奈川・Kアリーナ横浜
開場17:30 / 開演19:00
2024年10月15日(火) 神奈川・Kアリーナ横浜
開場17:30 / 開演19:00
2024年10月16日(水) 神奈川・Kアリーナ横浜
開場17:30 / 開演19:00
2024年10月30日(水) 神奈川・Kアリーナ横浜
開場17:30 / 開演19:00
2024年10月31日(木) 神奈川・Kアリーナ横浜
開場17:30 / 開演19:00
[お問い合わせ]
SOGO TOKYO 03-3405-9999(月~土 12:00~13:00 / 16:00~19:00
※日曜・祝日を除く)
▼チケット情報
・Ringo Jamシート:20,000円(税込)※特典付き
・SS指定:15,000円(税込)※特典付き
・S指定:12,800円(税込)
・着席指定:12,800円(税込)
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【Mrs. GREEN APPLE INFO】
・Mrs. GREEN APPLE Official Website
https://new.mrsgreenapple.com/
・Mrs. GREEN APPLE Official YouTube
https://www.youtube.com/@MrsGREENAPPLE_Official/videos
・Mrs. GREEN APPLE Official X
https://x.com/AORINGOHUZIN/
・Mrs. GREEN APPLE Official Instagram
https://www.instagram.com/mgaband/?hl=ja
・Mrs. GREEN APPLE Official TikTok
https://www.tiktok.com/@mga_band_official
・Mrs. GREEN APPLE Official Facebook
https://www.facebook.com/Mrs.GREENAPPLEofficial
【Official Instagram】
大森元貴
https://www.instagram.com/motoki_ohmori_mga/
若井滉斗
https://www.instagram.com/hiloto_wakai_mga/
藤澤涼架
https://www.instagram.com/ryoka_fujisawa_mga/