過去20年間、韓国で最も多くプレイリストに追加されたアーティストであるポール・キムが待望の日本デビューを果たした。今回リリースされた「君に会い(Me After You)」は彼の代表曲の1つでオリジナルは約1億回再生を記録している名曲。自ら手掛けたという日本語詞で、新たな息吹を吹き込んだ。今作の制作エピソードの他、日本での初体験となった出来事など、堪能な日本語で語ってくれた。
■本誌初登場ということで、最初にポールさん自身のことをお聞きしたいのですが、日本に留学していた経験があるそうですね。
「日本とニュージーランドに留学の経験があって、日本では大分県の別府にあるAPU(立命館アジア太平洋大学)に3年生まで通っていました。国際経営学部で経営学を学んでいたんですけど、“何をしたら自分は幸せになれるのだろう?”という気持ちがずっとあって。音楽が大好きで、歌うことが好きなんだから、それを仕事にしたほうがいいと思い立って、大学を辞めて韓国に帰って歌手を目指すことにしました」
■音楽は幼い頃から好きだったのですか。
「歌うことが好きで、カラオケとか、機会があれば人前でもよく歌っていました」
■作詞作曲はいつ頃から始めたのですか。
「別府に居た時です。僕のおばさんの友達が日本に住んでいたんですけど、韓国に帰ることになった時に持っていたピアノを譲ってくれたんです。それでメロディを作るようになって、歌詞も付けるようになっていきました」
■日本でも活動したいという想いはいつ頃から?
「ずっとありました。でもコロナ禍になってしまったり、なかなか上手く行かない状況が続いていて、今回、やっとデビューすることが出来ました。夢が叶ったのですごく嬉しいです」
■日本デビュー曲「君に会い(Me After You)」は、オリジナルバージョンが2018年に韓国でリリースされています。他にもヒット曲がある中、なぜこの曲を選んだのですか。
「韓国の音楽に詳しい方でしたら聴いたことがあるかもしれませんが、日本のほとんどの方は聴いたことがないと思ったので、初めての挨拶となる曲として歌詞の内容がピッタリなんじゃないかと思って選びました。“あなたに出会っていろんなことが変わったよ。幸せな時もあれば、不安な時もあるけど、二人だったらどこにでも行けるよね”というメッセージになっています」
■オリジナルはどのような経緯で作られたのですか。
「仲間と3人で制作をした曲なんですけど、LAで作業をしていた時にまずはすごくいいメロディが出来上がって。そこにどんな歌詞を載せたらいいかな?と考えた時に、人と人が付き合うと、自分の習慣とかを相手に合わせたりしていろんなことが変わりますよね。そして変わったことに慣れていく。そのすべての過程が素敵だなと思ったので、そういう想いを込めたいと思って書きました」
■ポールさんは相手に合わせて自分を変えるタイプなのですか。
「自分を変えないという人もいるとは思いますけど、それはその方の相手がすべてを認めて、受け入れているからだと思います。なので、僕の場合はめっちゃ変わります。変わらないと怒られます(笑)。一回やって、怒られて、直して。最初から合わせることができる人は多くないと思うので、経験が必要ですよね(笑)。僕が書く曲は大体が映画やドラマになるような特別な話ではなくて、誰もが経験できるような、普通の日常の中で起こる出来事を書いています」
■日本語バージョンの歌詞はどのように作っていきましたか。
「直訳だとメロディにハマらない言葉もあるので、日本語詞を作るのはかなり時間がかかりました。もともと自分が書いた歌詞だから、メッセージはちゃんと伝わるようにしつつ表現を変えてみたりもしました。友達に“この日本語で伝わるかな?”とか、確認もしながら書いていきました。僕の日本語はそこまで上手ではないですけど、それでも自分で書いた歌詞なんだから、自分で頑張って作らなきゃと。そうすれば聴いてくださる方には想いが伝わるんじゃないかと思いました」
■日本語で歌ってみた率直な感想は?
「韓国語のほうが歌い慣れているので、日本語バージョンも自分で作ってるとはいえ、結構、大変です(苦笑)。集中しないと頭の中で韓国語と日本語が混乱してしまうので、ずっと緊張しながら歌っています」
■日本語でのレコーディングはどうでしたか。
「歌としては何度も歌っているから気持ちを込めることはできているので、今回はとにかく発音に気を付けました。録音したものを周りの人に聴いてもらって意見をもらいながらやっていきました。発音がすべてだとは思いませんが、やっぱり発音が気になると歌に集中するのは大変だと思うので」
■言葉の違いもありつつ、歌の聴こえ方も違うと感じました。
「韓国語と日本語の発音の違いからだと思います。日本語にすると“い”や“え”の音が多くなって、音が狭くなるというか、線のようになるんです。逆に韓国語だと太くて、広がる音が多くなるんですけど、この曲に関しては日本語バージョンのほうが音がきれいに聴こえると思います」
■日本語バージョンのMVも新たに制作されましたが、観てみてどう思いましたか。
「まず、(MVに出演している)三吉(彩花)さんがとても美しいです! そして、表現もすごく上手で、僕がこの曲に込めたメッセージがMVからも伝えられると思いました」
■三吉さんのことはご存じでしたか。
「もちろんです。韓国でも日本の有名な俳優兼モデルとして知られています。出演してもらえると思っていなかったのですが、ダメ元で聞いてみたら出ていただけることなって、本当に嬉しかったです」
■オリジナルのMVは主人公が男女二人ですが、日本語は三吉さんお一人ですね。
「監督さんのアイディアです。そもそも僕が今回のMVを撮ってくださった監督さんの作品が好きで、僕のMVも撮ってほしいと思ってお願いをしました。MVを観ている人がパートナーという感じの撮り方になっています」
■ちなみにこの曲はポールさんにとって音楽チャートで初の1位を獲得した曲でもありますが、その時はどんな気持ちでしたか。
「実は、あまり嬉しくありませんでした。僕はインディーズで活動をしていたので、アイドルや大手事務所の歌手の方のように大々的にデビューしたわけではなかったんですね。だからいきなり注目を浴びたけど、これがグラスのようにちょっとしたことで壊れてしまったらどうしようという気持ちで、幸せには思えませんでした。でも、今その時に戻れるのなら毎日、友達を呼んでパーティをします(笑)。するべきだったと思います。パーティをしなかったことを今すごく後悔しています(笑)」
■ポールさんと言えばドラマ「涙の女王」の「Can’t Get Over You」、「ホテルデルーナ」の「So long」など、OSTも有名です。オリジナル曲とOSTとで歌う時に違いはありますか。
「OSTはドラマの内容やどんな場面で使われるかによって、歌い方も表現の仕方も変わります。一方でオリジナル曲のほうは自分の経験や想いが入るので、僕らしい表現により近くなると思います。正直、ドラマを観ていて自分の声が聞こえてくると、物語の内容に集中できなくなりますけど(苦笑)」
■OSTを通して海外のファンも増えているのではないでしょうか。
「そうですね。なので、コンサートをする時、韓国と海外とで歌ってほしいと言われる曲が違います。日本でコンサートをする時もどちらを歌うほうがいいのか悩みます」
■それで言うと、11月30日には日本で10CMさん、ロイ・キムさんと共演するコンサートが開催されますね。
「そもそもオムニバス系のコンサートに参加するのは初めてなので、すごく楽しみにしています。オリジナル曲とOSTのどちらを歌うかは……以前、日本でコンサートツアーをした時、観客の皆さんにどちらが好きか聞いてみたのですが、両方ともと答える方が多かったんです。なので、両方ともいい感じに歌えたらと思っています」
■最近の来日で印象に残っていることは?
「今回の来日で初めてもんじゃ焼きを食べました。韓国で一度食べたことがあったのですが、あまり僕の好みじゃないと思っていたんです。でも、日本で食べてみたらすごく美味しくて、また行きたいと思いました。なんで僕は今までもんじゃ焼きを食べて来なかったんだろうと後悔しました(笑)」
■日本食は何が好きですか。
「あり過ぎますけど、今はセブンイレブンの納豆巻きを食べたいです。納豆が大好きで毎朝食べているのですが、韓国には納豆巻きはないんです。日本の納豆は美味しいです。おつまみのようにして食べたり、パンの上に乗せてトリュフオイルをかけて食べたりもします」
■日本人でもしないようなアレンジを。
「そうですか? じゃあ、日本で商売をしようかな(笑)」
■日本の好きなアーティストは?
「中島美嘉さんは昔から好きです。最近は星野源さんも好きですし、Mrs. GREEN APPLE、Official髭男dism、あいみょん、YOASOBIとかは韓国でも流行っていてよく聴いています。韓国ではJ-POPが人気なのですがメロディが多彩で、多様な楽器を使っているのがいいなと思います」
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Photo 大川晋児(Sirius)
Text 瀧本幸恵
Hair&Make-up 時田ユースケ(ECLAT)
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【音楽コラム「MY LOVE SONG」】
Paul Kim「君に会い(Me After You)」
自分の曲ですみません(笑)。誰でもケンカをすることはあると思うのですが、僕はケンカをした後にどうするかが一番重要だと思うんです。ケンカの後、この曲を聴きながら“それでもこの人はいい人なんだ”という感情を呼び起こしてもらえたらいいなと思います。相手は恋人でも家族でも友達でも。大切な人との仲直りのきっかけにこの曲がなれたら嬉しいです。
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ポール・キム
1988年2月11日生まれ。2014年、シングル「Would You Like to Have a Cup of Coffee?」でデビュー。自作曲はもちろん、ドラマのOSTでも数々のヒットを生み出しているシンガーソングライター。2025年8月29日に、待望の日本デビュー・シングル「君に会い(Me After You)」をリリースした。
🎶「君に会い (Me After You)」🎶
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https://nex-tone.link/A00200380
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【Information】
Garden Music Concert vol.1
2025年11月30日 (日) 大宮ソニックシティ 大ホール
出演:10CM、ポール・キム、ロイ・キム
[DAY LIVE] 開場 14:30 / 開演 15:30 (予定)
[NIGHT LIVE] 開場 18:00 / 開演 19:00 (予定)
一般チケット : ¥12,000 (税込)
アップグレード (抽選)
SS席:¥19,000 (税込)
※一般チケット+アップグレード ¥7,000 (税込)
S席:¥16,000(税込)
※一般チケット+アップグレード¥4,000 (税込)
https://www.mahocast.com/ce/c/60
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