2020年11月1日 シアタークリエ
伝説のブロードウェイ・ミュージカル『RENT』が11月2日、シアタークリエで約3年ぶりに幕を開けた。前日に行なわれたゲネプロでは、マーク=平間壮一、ロジャー=甲斐翔真(いずれもWキャスト)が登場。
1989年のXmas。N.Y.イースト・ヴィレッジに集う若者たちは、貧困、エイズ、ドラッグ、同性愛といった死と隣り合わせの問題に直面していたが、それぞれが夢を抱き必死に生きようとしている。そんな登場人物たちの個性あふれるハツラツとしたパフォーマンスが印象的。ミュージシャンのロジャーが爪弾く冒頭の「Tune Up」にバンド演奏が加わり、徐々にヒートアップ、全員で歌う「Rent」のパワーに圧倒された。
2015、2017年にはドラァグクイーンの“エンジェル”を演じていた平間は、本誌のインタビューで“平間壮一がやるマークだからこその意味を追求していく稽古になるだろう”と話していた。目の前の彼は、説明のしようがないくらいに“マーク”そのもので、客席にいる筆者も映像作家志望のマークと共にカメラをのぞき込み、若者たちの姿を追っているような気分になった。ジョアンヌと歌い踊るタンゴは微笑ましく、またエンジェルに死が訪れたシーンで目に涙が浮かび言葉を詰まらせたマークに思わず目頭が熱くなってしまった。
一方、甲斐が演じるロジャーは繊細で真っ直ぐで、まさに甲斐翔真ならではの“ロジャー”。「Another Day」で“♪生きる以外に道はない”と歌うミミに、素直すぎる感情をぶつけながら歌うなど、夢や愛する人に全力な姿に感情移入してしまうのだ。
「Seasons of Love」を横1列に並んで歌う名シーンは何度観ても胸が高まるし、どの曲にも歌うキャラクターの主張であったり、ミュージカルそのもののメッセージが込められているのが『RENT』である。そしてキャスト全員が魅力的で愛おしく、それぞれの色のエネルギーが全編に充満している素晴らしいミュージカルだ。
TEXT ⇒ 三沢千晶
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【Stage Information】
ミュージカル『RENT』
11月2 日(月) ~ 12月 6日(日) 日比谷シアタークリエ
12月11日(金)~12日(土) 愛知県芸術劇場
[キャスト]
マーク・コーエン(Wキャスト):花村想太/平間壮一
ロジャー・デイヴィス(Wキャスト):堂珍嘉邦(CHEMISTRY) /甲斐翔真
ミミ・マルケス(Wキャスト):遥海/八木アリサ
トム・コリンズ(Wキャスト):加藤潤一/光永泰一朗
エンジェル・デュモット・シュナール(Wキャスト):RIOSKE (COLOR CREATION) /上口耕平
モーリーン・ジョンソン(Wキャスト):フランク莉奈/鈴木瑛美子
ジョアンヌ・ジェファーソン:宮本美季
ベンジャミン・“ベニー”・コフィン三世(Wキャスト):SUNHEE/吉田広大
ICHI コリ伽路 奈良木浚赫 小熊綸 吉田華奈 吉原シュート
[脚本・作詞・音楽]ジョナサン・ラーソン
[演出]マイケル・グライフ
[振付]ラリー・ケングウィン
[美術]マーク・ウェンドランド
[衣裳]アンジェラ・ウェント
[映像デザイン]ピーター・ニグリーニ
[日本版リステージ]アンディ・セニョールJr.
[製作]東宝株式会社
★ fabulous stage Vol.12
平間壮一 →「RENT」ロングインタビュー掲載
甲斐翔真 →「RENT」ロングインタビュー掲載
https://awesomemagazine.jp/2020/07/31/fabulous-stage-vol-12/
★awesome!WEB
平間壮一×甲斐翔真 →「RENT」スペシャル対談掲載
https://awesomemagazine.jp/2020/09/09/