1983年に公開され、世界的に大ヒットした伝説の青春映画を舞台化したミュージカル『フラッシュダンス』が12日、日本青年館ホールにて開幕した。
舞台は80年代のアメリカ、ピッツバーグ。昼間は鉄工所、夜はバー“ハリーズ”のダンサーとして働き、プロダンサーへの夢を抱くアレックス(愛希れいか)を中心に、若者たちの夢と挫折を描く。
「What A Feeling」や「Maniac」などの大ヒットナンバーをはじめとした80年代サウンドが全編に散りばめられ、エネルギッシュに躍動する出演者たちのダンスパフォーマンスにワクワクが止まらない。
アレックスに一目惚れするニック・ハーレイを演じているのは廣瀬友祐。奔放なアレックスに対する不器用なアプローチが微笑ましく、特にアレックスが目の前で無造作にブラを外すシーンでのリアクションには笑ってしまった。
一方、ニックと対極のキャラクターといえるC.Cを演じるのは植原卓也。C.Cはストリップクラブ“カメレオン”の経営者であり、ハリーズの買収をもくろんでいた。植原は廣瀬との対談時(※)、C.Cについて「ここまでの悪役を演じることは今までになかったので徹底してやりたい」と意気込みを語っていたが…なんと、目の前のC.Cは悪魔そのもの! しかし、アレックスの親友グロリア(桜井玲香)やカメレオンガールたちを支配する妖しい猛獣使いのような振る舞いのC.Cに、なぜか惹きつけられてしまうのだ。
有名なウォーターシーン、シップレイアカデミーでのオーディションシーンなどは映画を忠実に再現していて、当時を知っている世代は青春が蘇り、同世代やもっと若い世代には勇気を与えてくれる作品になっているのではないだろうか。「What A Feeling」の大合唱で大団円を迎え、本来なら客席をも巻き込んで歌い踊っている情景が目に浮かぶ本作。
演出の岸谷五朗が公演後、「初日の産声をこれほど未来の可能性だと感じる公演は初めてだ」とコメントしていた。ミュージカルを愛するすべての人たちに、この希望に満ちた感動が届くことを祈る。(Text ⇒ 三沢千晶)
ミュージカル『フラッシュダンス』
東京公演:9月12日(土)~9月26日(土) 日本青年館ホール
名古屋公演:10月3日(土)~10月4日(日) 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
大阪公演:10月8日(木)~10月11日(日) 梅田芸術劇場 シアタードラマシティ
日本版脚本・訳詞・演出:岸谷五朗
脚本:トム・へドリー(映画「FLASHDANCE」)&ロバート・ケイリー
音楽:ロビー・ロス
作詞:ロバート・ケイリー&ロビー・ロス
原作:トム・へドリー&ジョー・エスターハス作 パラマウント・ピクチャーズ映画「FLASHDANCE」
出演:愛希れいか
廣瀬友祐 桜井玲香 福田悠太(ふぉ~ゆ~)
植原卓也 Dream Shizuka 石田ニコル/春風ひとみ 他
企画・製作・主催 : アミューズ