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    2020年11月6日 ミュージカル『プロデューサーズ』ゲネプロレポート

    2020年11月8日 東急シアターオーブ

     福田雄一演出のミュージカル『プロデューサーズ』の開幕に先立ち、前日にゲネプロが公開された。本作は、“史上最低のミュージカル”を制作してボロ儲けを夢見る、落ち目のプロデューサー・マックス=井上芳雄と気の弱い会計士・レオ=吉沢 亮(大野拓朗とWキャスト)という2人の顛末を描いたコメディ・ミュージカルである。

     井上は、小ずるい策略で食いつなぐ、人たらしな“マックス”を熱演。冒頭の歌唱シーンから、足下がどんなに揺れ動いてもブレない美声でも会場中を魅了し、観客を早速ブロードウェイの劇場街へと誘った。

     吉沢はこれがミュージカル初挑戦とは思えない歌唱力。緊張しがちですぐパニックになり、子供の頃から使っているブランケットを常に手放せない“レオ”のキャラクターをイケメンにあってはいけない変人ぶりで見事に表現し、会場を湧かせる。レオ最大の見せ場の1つである会計事務所を辞める際のパフォーマンスでは、シルクハットとスティックを持ち、ショーガールと共に華麗なタップダンスを披露した。


     それにしても、すべての登場人物のキャラが濃すぎて、面白すぎて、口角が上がったまま戻らない!
     初めてゲイを演じたという木村達成の“カルメン・ギア”はとても色っぽく、かつ、1つの動きや表情だけでも笑いが込み上げてしまったし、吉野圭吾演じる演出家“ロジャー・デ・ブリ”の抜群にエキセントリックな存在感は見事なもので、恋人で助手のカルメンとの息の合った絶妙な掛け合いも最高だった。
     マックスの支援者である老婦人・ホールドミー・タッチミー(春風ひとみ)、ヒトラーをこよなく愛するクセ者の“フランツ・リープキン”を演じる佐藤二朗は、期待を裏切らない独自路線の笑いを全うし、会場は爆笑の嵐(しかも、佐藤は歌声も味わい深い)。
     また、清純派な役柄の印象が強かった木下晴香の“ウーラ”による、コミカルでお色気満載のパフォーマンスには目が釘づけとなった。


     後半、マックスがレオと出会ってからの出来事をイッキに再現する回想シーンは圧巻で、ここでも井上の歌唱力と表現力に感服。言葉を選ばずに言えば、バカバカしくも見応えたっぷりの劇中劇…というか、まるで“ミュージカルを2本観た”ようなお得感であった。

     下ネタは満載、人形で登場するハトやドイツ兵さえも、笑いに隙がない。チカチカと眩し過ぎるほどに輝く電飾や豪華なステージセットを含め、井上がゲネプロ前の会見でコメントしていた通りの「現実を忘れられるミュージカルらしいゴージャス感」がそこにはあった。素晴らしい音楽の中での“笑ゲキ”の展開。ミュージカル『プロデューサーズ』を観れば、きっと誰もが幸せな気分になれるのではないだろうか。(TEXT ⇒ 三沢千晶)


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    【Stage Information】



    ミュージカル『プロデューサーズ』

    11月9日(月)~12月6日(日) 東急シアターオーブ

    脚本:メル・ブルックス/トーマス・ミーハン
    音楽/歌詞:メル・ブルックス
    オリジナル振付:スーザン・ストローマン
    日本版振付:ジェームス・グレイ
    演出:福田雄一
    出演:井上芳雄、吉沢亮/大野拓朗(Wキャスト)、木下晴香、吉野圭吾、木村達成、春風ひとみ・佐藤二朗 他
    製作:東宝
    公式HP ⇒ www.tohostage.com/producers/




    ★ fabulous stage Vol.13

    表紙:井上芳雄

    主演ミュージカル『プロデューサーズ』についてロングインタビュー。
    スペシャル撮り下ろしグラビアもたっぷりと掲載。

    共演の吉沢亮、大野拓朗、木村達成のグラビア&インタビューも含めた
    ミュージカル『プロデューサーズ』巻頭70ページ大特集!

    https://awesomemagazine.jp/2020/11/05/fabulous-stage-vol-13