2020年6~7月に上演予定だった音楽劇『プラネタリウムのふたご』の延期上演が決定し、2月6日にプレビュー初日を迎える。稽古も終盤に近い某日、W主演となるふたご、テンペルとタットルを演じる永田崇人と阿久津仁愛に直前の心境を伺った。
■もうすぐ初日を迎えますが、お稽古の様子はいかがでしょうか?
永田「いい感じで仕上がりに向かっています」
阿久津「僕ら2人、“ふたご”としても順調に仕上がりに向かっていますよね?」
永田「そう、稽古場の雰囲気もすごくいいですよ。でも、原作自体いろんな捉え方があるので、みんながわかりやすく同じ場所に到達しないというか、それぞれの想いが違うんですよ。それがいい色になっている気がしますね」
■私も台本を読ませていただきまして、笑えてほっこりして、ハラハラしたり、哀しくなったり。最後は泣いてしまいました。
永田「本当ですか? いろんなことを感じてもらえたのなら嬉しいですね。その台本が舞台上でどうなるか……僕らも楽しみです(笑)」
■ウォーリー木下さんの演出はいかがですか? 阿久津さんはウォーリー作品、初参加となりますが。
阿久津「必死にがむしゃらにやっています。特にテンペルとタットルが離れ離れになるシーンでは、同じステージ上に立っていて近い距離にいるのに遠かったり切なかったり……っていう気持ちが、音とステージングとかで見えてくるのがすごいなと思いました。あとは早替えがあって、もう1人、裏にいるんじゃないか?ってくらいの早さだったり、すごい演出が詰まっている作品なので、余裕はまったくないです(笑)」
永田「ははは!(笑)」
阿久津「でも、すごく充実しているので、やっていて楽しいです!」
■永田さんはウォーリーさんと今作で8度目ですが、この作品ならではの感覚はあるのでしょうか。
永田「今回って、唯一、僕だけが1役なんですよ」
阿久津「確かに……!」
永田「全然関係ない話なんですけど、今まで経験してきたウォーリーさんの舞台の中で、最高で着替え数21回です(笑)」
阿久津「えー! 多い(笑)」
永田「長年、ウォーリーさんが何かある度にずっと“やりたい作品だ”とおっしゃっていたので、改めて、そこに携われるのはすごくありがたいことだなって思いますね。でも時々、自信が無くなって“僕でよかったのかな?”と思う時があるんですよ」
阿久津「え、そうなの?」
永田「うん。“僕のテンペルだとこうなるけど、ウォーリーさんは本当にこれでいいのかな?”とか、悩むことがあるんですよ。というのも、本当にいろんな捉え方ができる“ふたご”だからね。ただ、原作や台本を読んでいても、目の見えない老婆が“人は自分の役割を持っている”と言っていて、“それは運命であって、星が全部決めているんだよ”って。それを読んだ時に、僕が“テンペル”を任されたこと、これは“運命”と捉えようと思って。だとしたら、自分が解釈したやり方を提示するべきだな、と」
■そうですね。いろいろ悩みますよね。
永田「なので本番を迎えるまで、まだまだ変わっていくんだろうなと思っています」
■お互いを見ていて、“テンペルっぽいな”“タットルっぽいな”と感じる部分はありますか?
阿久津「僕は原作を読んでる時点で、崇人くんのテンペル、僕のタットルをイメージしてたから、僕の中ではずっと(永田は)テンペルに見えてるんですよ」
永田「僕はね、稽古をやっている中で、普段の仁愛が見せたことがないような、本当は自分の中に持っている黒い部分というか……が出ているシーンがあって(笑)」
阿久津「え~?(笑顔で永田を見つめる)」
永田「それがタットルっぽいというのか、“仁愛タットル”の人間らしいところというか、一番好きなシーンですね。キレイ事で終わらせない、というところを20歳で考えられるんだ……すごいな、と思って観ていました」
■“阿久津仁愛”は人間だったということですね!
永田「え、わかんないな。人間なの?」
阿久津「えー! 人間でいきたいよ!(笑)」
■(笑)。台本を読ませていただいて、テンペルもタットルも、アプローチは違っても2人ともすごく優しい子なんだということはすごく感じました。
永田「うん、素直だよね?」
阿久津「純粋な感じですよね。普段から、崇人くんの優しさは感じています!」
永田「仁愛はとても大らかな人だし、優しい言葉が似合うよね」
■それぞれが思う、本作の見どころを教えてください。
阿久津「僕は、テンペルとタットルが歌を歌っているシーンですね。稽古をしていても、そこが一番楽しいから。あとは“タットルとテンペル”、“タットルと泣き男”、“タットルとお母さん”のシーンは、全部家族との感情を引き出されているので好きです」
永田「あとは、1幕と2幕では5年の歳月が経っているので、テンペルとタットルの成長や心の変化に注目してほしいですね」
■今作はもともと昨年の6~7月に公演が予定されていましたが、コロナ禍の影響で延期となりました。そういう逆境だからこそ、逆に演劇に対して燃える想いがあるのでは?
永田「僕って、出たとこ勝負すぎる人間なんですよ。あまり先のことを考えられない、というか。なので、いつもと同様に、ただがむしゃらにやっているって感じですかね? だって、“中止”にならずに“延期”って、幸せなことだから」
阿久津「僕はコロナで世の中がガラッと変わってしまってから、自分のイベント以外でちゃんと舞台に立っていなくて。でも、他の舞台を観に行った時に、心の底から素晴らしいなと思ったんですよ。こういう時期に舞台ができるってすごいことだし、舞台上にいるキャストのみなさんが今まで以上に輝いて見えたんです。だからたぶん、僕もステージに立ったら、そういう熱い気持ちになるんだろうなって思いました。でも今はとにかくやることが多いので(笑)。正直、まだそこまで考えられないっていうのはあります」
永田「そうだね(笑)」
阿久津「ただ、僕らががむしゃらに必死にやっている姿をお客さんが観ることで、元気をもらえることはあるのかな?って思いますね。1年ぶりの舞台なので、全力でやっている姿をぜひ観てもらいたいです」
■最後に、2021年に始めたいこと、または挑戦したいことを教えてください!
阿久津「もっといろんな作品に出会って、自分の考えをちゃんと持てるようになりたいです」
永田「僕は貯金ですね!」
阿久津「なんで!?(笑)」
永田「(笑)。あとはやっぱり、仁愛と同じですね。もっといろんなことに興味を持ちたいです」
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【プロフィール】
■永田崇人(ながたたかと)
’93年8月27日生まれ。福岡県出身。近年の出演作は、ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』シリーズ(’16年~/孤爪研磨 役)、ドラマ「初めて恋をした日に読む話」「モトカレマニア」など。今後は、映画『徒桜』(’21年公開)などが控えている。
■阿久津仁愛(あくつにちか)
’00年12月23日生まれ。栃木県出身。近年の出演作は、ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン(’16年~/主人公・越前リョーマ役)など。今後は、映画『ツナガレラジオ~僕らの雨降Days~』(2月11日公開)、Huluオリジナルドラマ「マイルノビッチ」(2月12日配信スタート)などが控えている。
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Photo ⇒ 大川晋児
Text ⇒ 三沢千晶
衣裳 ⇒ 屋島裕樹
ヘアメイクディレクション&ウィッグ制作 ⇒ SAKIE
ヘアメイク ⇒ 千葉美智子
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【STAGE Information】
音楽劇『プラネタリウムのふたご』
プレビュー公演:2月6日(土)~2月7日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
大阪公演:2月13日(土)~2月14日(日) 梅田芸術劇場 メインホール
東京公演:2月19日(金)~2月23日(火祝) 日本青年館ホール
原作:いしいしんじ(講談社文庫)
演出・脚本:ウォーリー⽊下
出演者:永田崇人 阿久津仁愛 佐藤アツヒロ
前島亜美 菊池修司 サイクロンZ 冨森ジャスティン
齋藤桐人 山﨑秀樹 安田カナ 黒木夏海 谷啓吾 田鍋謙一郎
壮 一帆 春風ひとみ 大澄賢也 松尾貴史
お問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12:00~15:00)
企画・製作 : キューブ / サンライズプロモーション東京
公式サイト:https://www.planetarium-twins2020.com