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    2023年1月30日 永田崇人 ミュージカル『バンズ・ヴィジット』インタビュー

     トニー賞10冠の傑作ミュージカル『バンズ・ヴィジット』が2月に日生劇場で幕を開ける。エジプトの音楽隊が迷子になったイスラエルの街に住む“パピ”という青年を演じる永田崇人さんにお話を伺った。

    ■演出の森新太郎さんが、「このミュージカルはビックリするほどたいしたことが起こらない。でも登場人物にとっては、とてつもなくたいしたことが起きている」とおっしゃっていましたね。永田さんはお稽古に入られて、どんな感触をお持ちですか?

    「今のところまだ掴めていないんですが、フフフって笑えるミュージカルですね。映画(2007年の映画『迷子の警察音楽隊』)ほどシュールな笑いが多いわけではなく、もうちょっとわかりやすく笑える作品だと思います。このミュージカルは、エジプトの警察音楽隊がイスラエルへ演奏旅行に行き、迷子になって目的地とは違う街で一夜を過ごすというお話なんですよ。たしかに森さんがおっしゃるように、劇的には何も起こらないけど、一人一人には大変なことが起こっているんですよね。僕が演じるパピは音楽隊がやってきた街の人間で、そこの住人にとっても、それはとてつもないことで」

    ■あぁ、たしかに住人側からすればそうですよね。

    「音楽隊が来たことによって、いろんなことが巻き起こっていくんです」

    ■パピは、ディナ(濱田めぐみ)の食堂で働く従業員ですが、友人とのグループデートに楽隊員のカーレド(新納慎也)がついてきてしまうという展開です。

    「そうですね。で、パピはカーレドに女性の扱い方の指南を受けるという(笑)。そもそも音楽隊の人達とは国が違うから言葉が通じないんですよ。英語は通じるんですけど、同じソサエティにいない人間だからこそ相談できるというか。たとえばライヴとか行ったら周りは知らない人ばかりで、同じ人間であることくらいしか共通点がないじゃないですか。知らない人達だったらどう見られてもいいみたいなところありますよね。そういう強さって人にはあるな~って」

    ■わかります。“旅の恥はかき捨て”ということわざもありますし。

    「楽隊員も住人も、そこに近い感覚があるんじゃないかな? 何もかもを理解されすぎないからこそ言えてしまう。そういうことが(舞台上の)各地で起こっているな~って。だから状況は違えど、身近に全然あり得ない話ではないと思うんです。“人の心に国境はない”というキャッチフレーズがついていますけど、まさにこの作品はミュージカルとストレートを繋ぐというか、間に位置する作品だと僕は思っているんですよ。キャストのみなさんも、今回はミュージカル俳優さんだけじゃなくて普段は映像作品に出ていらっしゃる方だったり、お笑い芸人さんもいますし、そういったカテゴライズされてない感じがいいなと感じています」

    ■なるほど。キャスト的な国境のなさ、面白いですね。

    「そうなんですよ。そこが1つのヒントなんじゃないかな?と僕は思ってるんですけどね。面白いところに落とし込めればいいなと考えています」

    ■音楽も少々聴かせていただきましたが、こちらも今までにない雰囲気ですね。

    「オリエンタルな世界観…なんかヒーリング効果ありそうですよね(笑)」

    ■中東音楽ってほぼ知らないんですけど、最近だとサッカーW杯カタール大会のサウンドロゴがすでに耳に馴染んでいます(笑)。

    「あ~! あの感じに近いと思いますよ。楽器も同じなんじゃないかな? 僕もW杯ずっと観てましたけど、たしかにそういう意味では馴染みやすい音楽かもしれないですね」

    ■演出の森新太郎さんとご一緒されるのは初めてですね。どんな印象をお持ちですか?

    「僕が今まで経験したことのないタイプの演出家さんです。確たる何かがあることはすごくわかるんですよ。だからそれを汲み取りたいんですけど、脈絡がなくてなかなか拾えないんですよね。なんでこうしてほしいのか?っていうのがわからないということが多くて、言われたことをただやるみたいなことが今起きているな~と。どう寄り添えばいいのか?というところがすごく難しいので、フラットに居るようにはしています。でも徐々に理解はできてきているので、来年には打開できているはずです(笑)」

    ■永田さんのパピに期待しています! そのパピは、ディナの店の従業員ですけど、濱田めぐみさんはどんな方なんですか?

    「読み合わせの時に濱田さんが歌われたんですけど、それを録音してずっと聴いていたいくらい、その歌で1時間40分終わってもいいくらいに素晴らしくて。なんと言っていいかわかんないくらいに良かったです(笑)。こんなこと言ったら怒られるかもしれないけど、濱田さんって劇場に観に行くと華やかで輝くミュージカルスター!って感じなんですけど、稽古場で普通に喋っていると優しくてユーモアがあって。本当に素敵な方なんですよ。僕、大ファンです」

    ■そしてパピと深く関わってくるのが、カーレド役の新納慎也さん。『HOPE』では演出家と俳優の間柄でした。

    「とても魅力的な方なんですよ。たくさん引き出しを持っていますし、歌も素晴らしいし…、本当に優しいお兄ちゃんみたいな方ですね」

    ■パピも恋愛相談しやすいですね~。

    「(笑)そうですね。本当、そんな新納さんがご一緒というだけで心強いです。演出されるってすべてを見せないといけないので、一度何もかも見せた方が一人いてくださるっていうのは、すごくありがたいなって思いました。わかんないことをいろいろと聞いたり相談させてもらったりもしますし、“崇人の(歌の)サビ好きやで”って言ってくださったりして、すごく支えになっています」

    ■そして風間杜夫さんとご一緒されての印象はいかがですか?

    「僕、ファンなんです。本当に大好きな俳優さんで、おおらかで優しくて、カッコいいです。風間さんの舞台とか観てると本当に楽しんでいらっしゃっていて、舞台が大好きな人なんだなって感じて、いつもキュンとするんですよ。ご一緒にお芝居できるのが夢のようですし、頑張らないと!」

    ■では最後に2023年の抱負についてお伺いしたいのですが。2022年はたくさんご活躍されましたよね。

    「いい1年でした。俳優としても個人的にも、自分の気持ちいいポジションがわかりました。ちょっと強くなれたかな? もともとすごく弱い人間なんですけど、ガラスのハートに1枚フィルムを貼れたかな?って感じですね。自分が自分を少し好きになれたんですよ。それが一番大事なことだってことに気づきました。そういう意味ではいろいろと苦悩もしましたけど、濃い1年だったなと思います」

    ■いや本当に素敵です。2023年は、そのままステップアップしていけそうですか?

    「そうなるといいですね。そうなれるように頑張っていきたいです。あとは、マイペースに楽しくやりたいっていうのは一貫してありますね。自分の機嫌を取りながら死ぬまで楽しい日々を過ごし続けたいです」

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    【共通テーマ音楽コラム「あなたにとってのラブソング」

    くるり「真夏日」


    僕、この曲に恋しまして、今はこの曲しか聴けなくなっています。何でもない日常を愛している歌で、この曲を聴きながらエモーショナルな気持ちでお散歩をするのがなんだか心地いい今日この頃です。

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    【プロフィール】

    永田崇人(ながたたかと)
    1993年8月27日生まれ。福岡県出身。最近の出演作は、ドラマ「ガンニバル 」「なにわの晩さん! 美味しい美味しい走り飯」「階段下のゴッホ」「シェアするラ!インスタントラーメンアレンジ部はじめました。」「カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~」、映画『向田理髪店』、舞台『パラダイス』、ミュージカル『HOPE』、朗読劇『リスナーたちの星空』など。


    最新情報は公式HPへ!

    HP

    https://www.cubeinc.co.jp/archives/artist/nagatatakato

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    【STAGE INFORMATION】


    ミューシカル『バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊』
    東京公演:2月7日(火)~2月23日(木・祝) 日生劇場

    大阪公演:3月6日(月)~8日(水) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
    愛知公演:3月11日(土)~12日(日) 刈谷市総合文化センター大ホール

    HP
    https://horipro-stage.jp/stage/bandsvisit2023/


    原作:エラン・コリリンによる映画脚本

    演出:森 新太郎
    出演:風間杜夫 濱田めぐみ 新納慎也 矢崎広 渡辺大輔 永田崇人 エリアンナ 青柳塁斗 中平良夫 こがけん 岸祐二 辰巳智秋 山﨑薫 髙田実那 友部柚里 太田惠資 梅津和時 星衛 常味裕司 立岩潤三 竹内大樹 若泉亮
    企画制作:ホリプロ

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    【クレジット】

    Text 三沢千晶

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