2024.8.17(土) 国立代々木競技場 第一体育館
若手アーティスト集団“EBiDAN”によるライヴイベント『EBiDAN THE LIVE CRUISE 2024』が、8月17日(土)、18日(日)に国立代々木競技場 第一体育館にて開催された。
今回は、超特急、M!LK、SUPER★DRAGON、さくらしめじ、ONE N’ ONLY、原因は自分にある。、BUDDiiS、ICEx、Lienelの9グループ、総勢62名が参加。コンセプトを“豪華客船”とし、明るくハッピーで可愛い「YELLOW ISLAND」、クールな「BLUE ISLAND」、情熱の「RED ISLAND」というテーマの異なる3公演を行なった。ここでは初回の「YELLOW ISLAND」公演のレポートをお届けする。
awesome! Plus Vol.30にて、今年の『EBiDAN THE LIVE』への意気込みを尋ねた際、タクヤ(超特急)は「去年からうちのユーキが本格的に演出に関わるようになって印象ががらっと変わって。今年もやってくれているので、その進化を感じてほしいなと思います」と述べていた。まさにその言葉通り、今回の“エビライ”はさまざまな面で“進化”が感じられた。
オープニングナンバーはEBiDANメンバー全員による「What’s up, Voyagers!」。ステージが明るくなると、62名が一斉に客席に向かって敬礼。グループごとにデザインが異なるゴージャスな雰囲気の衣装に身を包み、華々しい“出航”の時を告げる。トップバッターのタカシ(超特急)から、各グループの代表がディスコテイストのアップテンポなナンバーを歌い継ぎ、サビでは全員が同じ振り付けを踊る。途中、グループごとの立ち位置を移動したり、ライトの当て方を変えたり、短い時間の中でも全グループにスポットが当たるように配慮がなされている。結成2年目から13年目までキャリアの差はあるが、それを特別な優劣をつけずに見せるところがEBiDANらしい。
それぞれのグループが一言ずつ挨拶をした後、まずは “明るくハッピーで可愛い”というテーマにマッチする楽曲をグループごとに披露していく。SUPER★DRAGON(以下、スパドラ)は7月30日にリリースされたばかりの「Sweets」をパフォーマンス。スパドラと言えばクールでカッコいいイメージが強いが、この曲では可愛らしさも放出。ポップなサウンドに合わせたキュートな振付や、歌いながら田中洸希が池田彪馬にバックハグをするなど、テーマがあるからこそ見せられる一面で観客を喜ばせた。他にも、「My Love」を歌ったONE N’ ONLY(以下、ワンエン)など、テーマがなければ曲数の限られるイベントなどではやらなそうな楽曲もあり、続く「BLUE ISLAND」、「RED ISLAND」がテーマの公演での意外性にも期待が膨らんだ。
次のブロックでは、エビライの目玉であるシャッフルユニットが早くもお目見え。初回公演は、原因は自分にある。(以下、げんじぶ)「推論的に宇宙人」、ICEx「CANDY」の2曲で、それぞれ大倉空人(げんじぶ)役を八神遼介(ICEx)、志賀李玖(ICEx)役を田中(スパドラ)というように、基本的には違うグループのメンバーがパフォーマンスする(時に本人役もあり)。振付のポジションも再現し、衣装も本物を着るだけに、毎回、誰が誰役をやるかもにも注目が集まる。
ICExのメジャー・デビュー曲である「CANDY」は、彼らの持ち味のフレッシュさをアピールできる楽曲。ただ、選ばれたシャッフルメンバーは本人達と比べると少々、大人な面子。絶妙な落ち着きと、各々、自身が得意とする歌いまわしや、プレイがにじみ出ていて、原曲にはない雰囲気に。また、スパドラの伊藤壮吾と柴崎楽がマイクを持ってセンターで歌うという、グループの時にはあまり見られない場面などもあり、シャッフルならではの見せ所に溢れていた。
さらに、EBiDAN SPECIAL BANDも登場。最初にメンバーの後ろ側から照明が当てられ、ギター、ベース、ドラム、キーボード、そしてスタンドマイク前に立つボーカルのシルエットが浮かぶ。そして、誰かはよくわからない状態から曲がスタート。<栄光に向かって走るあの列車に乗って行こう>――THE BLUE HEARTS「TRAIN-TRAIN」を歌う声が響く。そのまま1フレーズを歌い切り、ついにステージが明るくなると、ボーカル佐野勇斗(M!LK)、ギター田中雅功(さくらしめじ)、ベース髙田彪我(さくらしめじ)、ドラムEIKU(ワンエン)、キーボードKEVIN(BUDDiiS)の姿が目に飛び込んできた。しかも佐野は坊主頭。実は、ドラマ撮影のために地毛を短髪にしていたのだが、オープニングからここまでのステージではウィッグをかぶっていたため、その風貌に驚きの声もより大きくなる。疾走感のある力強いロックナンバーを佐野は時に腹の底から叫ぶように歌い、楽器隊も熱のこもった演奏を繰り広げる。前半からステージを走りまくっていた佐野は、後半になると着ていたシャツを脱ぎ捨てて、裸になってステージから客席までを激走。ここまでにはなかったボルテージの上がり方で、会場全体を熱くした。ちなみに、シャツを脱いで客席を走ったのは佐野のアドリブだったそうで、公演後「大人に怒られた(笑)」とのことだが、最終的には本公演の演出を務めたユーキ(超特急)が、スタッフとも話し合い、その後の2公演でも同じような場面を作ることが叶ったという。自らもステージに立つユーキだからこその粋な計らいもあり、今年のハイライトの一つともいえる記憶に残る名場面が生まれた。
次のブロックは、EBiDANメンバーが出演するバラエティ番組『DAN! DAN! EBiDAN!』(テレビ東京系)をフィーチャー。まずは、番組のオープニングテーマにも起用されている「恋のDing Dong」を再びステージに62名が集まって歌う。シャッフルユニットに参加したメンバーは衣装がそのままのため、若干、「誰が誰だか?」のようなカオスな状況にもなりつつ(笑)、メンバー同士、ハグをしたり、身体を寄せあったり、番組を通して深まったであろう仲の良さをうかがわせた。
続いて、番組内でのエピソードに基づいたユニットが登場。テーマごとにスポットが当たったメンバーで編成されており、番組がなかったら集まらないであろう組み合わせになっている。全メンバーの占いランキングを発表した放送回からできた“IKE!IKE!福男ランキングドリームユニット”は、運勢が良かった山中柔太朗(M!LK)、柴崎楽(SUPER★DRAGON)、杢代和人(げんじぶ)、志賀李玖(ICEx)と、悪かったシューヤ(超特急)、MORRIE(BUDDiiS)、阿久根温世(ICEx)、近藤駿太(Lienel)。良かった組は白ベースの明るい衣装で、悪かった組は黒ベースの暗めの衣装というこだわりぶり。楽曲もエピソードを用いた「Lucky Ageruyo」という、ラッキーだったメンバーから、アンラッキーだったメンバーへ“ラッキーをあげるよ”といった内容だ。他のユニットも同様、番組からエピソードを選んで、メンバーを編成し、楽曲を作って、ステージを演出し、リハーサルを重ねて、本番を迎えるまで、かなりの労力がかかる作業をこの1回のライヴのためだけに行なったかと考えると、改めてこのステージを観ることができた“ラッキー”を感じた。
『DAN! DAN! EBiDAN!』ブロックのあとには、歌、ラップ、ダンスというメンバーそれぞれのベースにあるスキルを存分に発揮するタームに突入。ここまではどちらかと言うと、観客を楽しませることを重視していたが、後半戦はアーティスト集団としての見せ場を作る。昨年も話題を呼んだダンスバトルは、DJを長野凌大(げんじぶ)と高岡ミロ(Lienel)が務め、デビュー前の“EBiDAN NEXT”のメンバーも含む、18名が参加。グループの時には、全体のバランスもあるため、なかなか見せられないようなパフォーマンスもあり、ステージへどんどん引き込まれる。観客をあおるためでなく、お互いを鼓舞するために声を上げるメンバー達の姿も新鮮で、2年目の試みにして、エビライの軸となるブロックとなっていた。
最後のブロックは、グループ同士でコラボをしながら、それぞれの曲を披露。BUDDiiSとワンエンはお互いの曲を歌い、踊り合い、げんじぶとスパドラはお互いの曲のバックダンサーを務めるなど、このイベントだからこその名場面が目白押し。EBiDANの最年長、超特急の「My Buddy」は、前半をICExが担当し、そこに超特急が合流、最終的にはEBiDANメンバー全員でパフォーマンスという流れで、最高の一体感を作り上げた。そして、本編ラストは、そのまま全員で「New day! New wave!(2024 ver.)」を歌唱。“明るくハッピーで可愛い”というテーマにふさわしい、ハッピーな時間となった。
アンコールでは、メンバー全員で「恋心」、「Believe yourself」を歌いながら、トロッコや自らの足で客席を巡るなどして観客に感謝を伝える。グループの壁を越えたメンバー同士の絡みも多く、“EBiDAN”という一つのチームとしての結束力ができていることが感じられた。
「EBiDANの一員になれたことがめっちゃ嬉しいです」(近藤/Lienel)
「すごく楽しかったし、幸せでした」(阿久根/ICEx)
「このメンバーでステージに立てて、マジ幸せです」(KEVIN/BUDDiiS)
「この一日で素敵な出会いがありました。皆さんと出会えて良かったです」(吉澤要人/げんじぶ)
「幸せな時間をありがとうございました!」(EIKU/ワンエン)
「ありがとうございました!」(髙田/さくらしめじ)
「テンションぶち上げでめっちゃ楽しかったです」(田中/スパドラ)
「僕達も楽しかったです!」(塩﨑太智/M!LK)
「EBiDAN、最高!」(アロハ/超特急)
それぞれに言葉でも感謝の想いを語ったメンバー達。最後はMCを務めたリョウガ(超特急)の号令で、全員で深々と頭を下げると、名残惜しそうに客席に向かって手を振りながらステージを後にした。
昨年から大きくリニューアルした『EBiDAN THE LIVE』だったが、今年はさらにたくさんの企画ユニットが生まれたり、グループの枠を超えたメンバー同士の交流が増えたり、目に見えて団結力が増した姿を見せてくれた。また、グループとしても、個々人としても、それぞれの魅力を際立たせる演出が多く、その上で、“EBiDAN”というチーム感が一番に出ていたのが深く印象に残った。少々気が早い話だが、来年の『EBiDAN THE LIVE』がどうなるのか、今から楽しみでたまらない。
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【クレジット】
Photo 米山三郎 / ウチダアキヤ
Text 瀧本幸恵
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【セットリスト】
【Day1/1公演目】 ~YELLOW ISLAND~
1.What’s up, Voyagers!(ALL)
2.Mr.Sister(Lienel)
3.Maniacs(ICEx)
4.Brightness(BUDDiiS)
5.P-P-P-PERO(原因は自分にある。)
6.My Love(ONE N’ ONLY)
7.エンディング(さくらしめじ)
8.Sweets(SUPER★DRAGON)
9.ブルーシャワー(M!LK)
10.MEMORIAる(超特急)
~シャッフルユニット~
11.推論的に宇宙人 源泉は地下にある。(シャッフルユニット名)
大倉空人役:八神遼介(ICEx)、小泉光咲役:山中柔太朗(M!LK)、桜木雅哉役:NAOYA(ONE N’ ONLY)、長野凌大役:本人、武藤潤役:KEVIN(BUDDiiS)、杢代和人役:高桑真之(Lienel)、吉澤要人役:竹野世梛(ICEx)
12.CANDY
NICEx(シャッフルユニット名)
志賀李玖役:田中洸希(SUPER★DRAGON)、中村旺太郎役:柴崎楽(SUPER★DRAGON)、阿久根温世役:MORRIE(BUDDiiS)、千田波空斗役:桜木雅哉(原因は自分にある。)、筒井俊旭役:曽野舜太(M!LK)、山本龍人役:伊藤壮吾(SUPER★DRAGON)、竹野世梛役:TAKUYA(BUDDiiS)、八神遼介役:TETTA(ONE N’ ONLY)
13.TRAIN-TRAIN ※THE BLUE HEARTSカバー
Vo.佐野勇斗(M!LK)/Gt.田中雅功、Ba.髙田彪我(さくらしめじ)/Dr.EIKU(ONE N’ ONLY)/Key.KEVIN(BUDDiiS)
14.恋のDing Dong
ALL
~『DAN! DAN! EBiDAN!』企画ユニット~
15.Lucky Ageruyo(IKE!IKE!福男ランキングドリームユニット)
シューヤ(超特急)/山中柔太朗(M!LK)/柴崎楽(SUPER★DRAGON)/杢代和人(原因は自分にある。)/MORRIE(BUDDiiS)/阿久根温世・志賀李玖(ICEx)/近藤駿太(Lienel)
16.飛躍(世代別ドリームユニット)
タクヤ、ハル(超特急)/佐野勇斗、山中柔太朗(M!LK)/志村玲於、ジャン海渡、飯島颯(SUPER★DRAGON)/KENSHIN(ONE N’ ONLY)/小泉光咲、長野凌大(原因は自分にある。)/YUMA、SHOW、HARUKI(BUDDiiS)/竹野世梛、八神遼介(ICEx)/高桑真之(Lienel)
17.More Than Precious(歌おう!ドリームユニット)
タカシ(超特急)/吉田仁人(M!LK)/田中洸希(SUPER★DRAGON)/髙田彪我(さくらしめじ)/TETTA(ONE N’ ONLY)/武藤潤(原因は自分にある。)/SHOOT(BUDDiiS)/千田波空斗(ICEx)/武田創世(Lienel)
18.HERO(SUPER CREATIVE)
シューヤ(超特急)/ジャン海渡(SUPER★DRAGON)/EIKU、HAYATO(ONE N’ ONLY)/KEVIN、MORRIE(BUDDiiS)
19.DJコーナー
長野凌大(原因は自分にある。)/高岡ミロ(Lienel)
20.EBiDAN DANCE部
ユーキ、マサヒロ、アロハ(超特急)/塩﨑太智(M!LK)/志村玲於、池田彪馬(SUPER★DRAGON)/EIKU、HAYATO(ONE N’ ONLY)/FUMINORI、SHOW、FUMIYA(BUDDiiS)/山本龍人(ICEx)/森田璃空(Lienel)/荘司亜虎、黒木将盛(EBiDAN NEXT TOKYO)/玉木盛柊、西田瑛音(EBiDAN NEXT OKINAWA)/筒井俊旭(ICEx):タップのみ
21.simple
さくらしめじ(with ICEx)
22.テレパシー
M!LK(with Lienel)
23.The One
BUDDiiS(with ONE N’ ONLY)
24.EVOL
ONE N’ ONLY(with BUDDiiS)
25.原因は君にもある。
原因は自分にある。(with SUPER★DRAGON)
26.So Woo
SUPER★DRAGON(with 原因は自分にある。)
27.My Buddy(ALL)
28.New day! New wave!(2024 ver.) (ALL)
En1.恋心(ALL)
En2.Believe yourself(ALL)
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