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    2020年10月16日 ミュージカル『生きる』ゲネプロレポート

     

    渡辺勘治 役/鹿賀丈史

     黒澤明監督の名画『生きる』を原作としたミュージカル『生きる』が、2年ぶりの再演となり、10月9日、日生劇場にて開幕。
     前日に行なわれた鹿賀丈史(市村正親とWキャスト)版のゲネプロでは、幕が上がった瞬間から出演者たちのエネルギーを全身で感じるパフォーマンスに惹き込まれた。その中で1人、ガンを宣告された渡辺勘治が部屋で呟くように歌った「ゴンドラの唄」は、“これが鹿賀丈史なのか?”と目を疑うほどの弱弱しさ。それが第1幕ラストの「二度目の誕生日」では力が漲り、“もう遅いのでは?”と自身に問いながらも「渡辺勘治として生きる」ことを決意するに至る。彼の表情の変化に、観ている我々の鼓動も強くなっていくのだ。


     ストーリーテラーとしての役割も担う小説家、新納慎也の圧巻の狂言回しや、勘治が務める役所の助役・山西惇の憎々しくも皮肉をたっぷりと込めたコミカルさなど、ベテラン勢の存在感が光り、また、勘治の息子を演じた村井良大や小田切とよ役の唯月ふうかをはじめとする若手の生命力漲る演技が“生きる”ということを体現していた。



     そしてかの有名な、勘治が雪の中でブランコに揺られ歌うシーン。その表情は死が迫っているにも関わらず晴れやかで、「ゴンドラの唄」も冒頭で歌われた時とはまた違った意味を持っていたように思う。カーテンコール、ゲネプロにもかかわらずスタッフ、プレス関係者からの鳴りやまぬ拍手が、その素晴らしさを物語っていた。以前の本誌インタビューで、鹿賀は“世界中の人たちが「人を想う、人が生きる」ということを感じていただければ”と語っていたが、まさに、そのメッセージをしっかりと受け取ることのできるミュージカルである。
    Text ⇒ 三沢千晶 


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    【Stage Information】


    ミュージカル『生きる』

    【東京公演】2020年10月9日(金)~10月28日(水) 日生劇場
    【富山公演】2020年11月2日(月)、3日(火祝) オーバードホール
    【兵庫公演】 2020年11月13日(金)、14日(土) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
    【福岡公演】 2020年11月21(土)、22日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
    【名古屋公演】 2020年11月28日(土)~30日(月) 御園座




     

    原作:黒澤明監督作品『生きる』
    作曲・編曲:ジェイソン・ハウランド
    脚本・歌詞:高橋知伽江
    演出:宮本亞門
    出演:市村正親 鹿賀丈史
    村井良大 新納慎也 小西遼生 May’n 唯月ふうか 山西 惇 他
    企画制作:ホリプロ
    主催:ホリプロ TBS 東宝 WOWOW(東京公演)、チューリップテレビ イッセイプランニング(富山公演)、梅田芸術劇場・兵庫県 兵庫県立芸術文化センター(兵庫公演)、博多座 RKB毎日放送(福岡公演)、御園座 中日新聞社(名古屋公演)
    公式サイト:http://www.ikiru-musical.com/