テレビ東京系で放送中の『シナぷしゅ』は、乳幼児向けでありながら大人のファンも多い番組。そんな本作がテレビを飛び出して映画に！ オープニング&エンディングを飾るのは、番組と深い関わりのあるchelmico。RachelとMamikoのふたりに、作品や楽曲のことからそれぞれの幼少期まで聞きました。
■『シナぷしゅ』と関わる以前から、おふたりは番組のファンだったそうですね。
Rachel「そうなんです。最初は、いつもchelmicoの楽曲を一緒に制作している友達のryo takahashiくんが、“面白い番組があるんだよ”ってMamiちゃんに教えてくれたんだよね」
Mamiko「そうそう、“この曲めっちゃいいんだよね”って番組で流れている曲を紹介してくれて。それで『シナぷしゅ』を知って、めっちゃ面白い！ってなりました」
Rachel「私はMamiちゃんに教えてもらって、確かにいい番組だなぁと思って。ちょうど当時お腹に子どもがいたので、そのタイミングも相まってふたりともすごいハマっちゃって。その後も私達が、つきうた（番組内で流れる月ごとの新しいテーマ曲）やりたーいってTwitterで言ったら、やりませんか？ってお話をくださったり。そのご縁が今も続いていて、今回映画の主題歌を私達に任せていただけると聞いた時は驚きながらも、絶対やるに決まってる！って思いました（笑）」
■2曲とも『シナぷしゅ』仲間のryo takahashiさんによる編曲ですが、まずはオープニングの「はじまりぷしゅ」は、制作に際してどんなやりとりがありましたか。
Rachel「できるだけ原曲に近い雰囲気がいいという話をしたので、音作りは違うけど、かなり原曲に寄せています」
Mamiko「キーは低くしたんですけど、もうちょっと華やかな始まり感を出したくて、レコーディングではピッチをきれいに当てないで伸びやかに歌ったら明るくなりました。私達も子どもの気持ちになって歌ったので、それが伝わればいいな」
■一方の「エンドロールぷしゅ」はどんなふうに作っていきましたか？
Rachel「映画の最後の設定のビデオコンテをいただいていたので、そこからみんなで盛り上がれるパーティソングにしようと話しました。この曲は、もともとあった“おわりぷしゅ”という曲に、今回ラップの部分を入れたものなんです」
Mamiko「もともとの曲のテーマがしっかりしているし歌詞が良すぎるので、それを壊さないようにしつつ、子ども達に言い聞かせるようにラップを書きました」
■歌詞には子ども目線のパートと、子どもを温かく見つめる親目線のパートがありますよね。
Rachel「真ん中の〈たくさん冒険するよ〉を挟んで視点が変わっていて、最初は子ども目線で書いて、後半は子どもを見つめる人の視点に移り変わっていく流れにしました。もともとの歌詞にも想いは込められているけど、言葉にしていない部分があると思っていて。その部分のトッピングになるように気持ちを込めました」
■歌い方も普段とは変わりましたか？
Mamiko「普段はもっとクールだったり、低めにラップしたりタイトだったりするんですけど、笑顔溢れるご近所のお姉さんという感じで歌いました（笑）。あとは子ども達が聴いて、歌詞が入ってこなくてもノリやすいように、トーンを明るくしました」
■すでに視聴者が知っている曲にアレンジを加える作業に難しさは？
Mamiko「最初は、もとの曲を邪魔しないようにchelmicoの色をどう出そうか不安もあったけど、雰囲気は壊さないように、自分達らしいクールさも入れつつポップに、というのは意識しました。難しかったけど歌えて光栄でしたし、楽しかったです」
Rachel「それまでお家で歌っていた曲を、私達の曲としてレコーディングするなんて不思議な感覚でした」
■おふたりが子どもの頃に好きだったものについても伺いたいのですが。
Rachel「セーラームーンです。友達とごっこ遊びをしていて、私はセーラームーンが良かったけど、髪を切ってからマーキュリー役が回ってきて、解せぬ…みたいな（笑）。子どものコミュニティなりにできるだけ近い人がやるっていう。今思うとマーキュリーもいいんですけどね。でもその反面ポケモンも好きで、全員ポニータのポニータごっこをやってました（笑）。ポニー！って言うだけなんですけど」
Mamiko「私が好きだったのはお笑いで、最初に好きになったのはMr.ビーンでした。お家にVHSがあってお兄ちゃんが観ていたので、私も一緒に3〜4歳の時から観ていて、めっちゃおもしれー！ってなってました」
■子どもの頃の夢なんかもありましたか？
Mamiko 「ラジオ作家さんとかはカッコいいなって思ったんですけど、さすがに私はできないなと。だからその頃の夢は、高速道路の料金所の人でした（笑）。個室でお客さんとちょこっと話すのに憧れてたんですよ。車も好きなので、カッコいい！と思ってました」
Rachel「私は当時、お花屋さんって言ってたけど、よく夢を聞かれるから、大人が喜ぶかなと思って言ってた気がする（笑）。そしたらおじいちゃんが“花屋は儲からないからやめろ！”って言ってきて（笑）。でもこっちは子どもだよ？ しかも適当に言っただけなのに。まともにとりあってくれて嬉しいけどさ（笑）」
■それぞれの映画館デビューも覚えていますか？
Rachel「私は5歳の時におばあちゃんに連れて行ってもらった『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』（1998年）です。映画館は暗くて、大きい音が鳴るのでちょっと怖かったけど、すぐに物語にのめりこみました」
Mamiko「私は、多分『クレヨンしんちゃん』。でも最初から、映画館って楽しい施設だと思いました。大きい画面と大きい音で観れて、お菓子も食べられるし」
Rachel「でもこの映画『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺにゅうワールド』は映画館が真っ暗にならないし音も小さめだから、当時の私のように映画館を怖がる子でも、安心して観れるんじゃないかな」
■この映画や楽曲が、子ども達にとってどんな存在になってほしいですか？
Mamiko「子どもの頃に聴いた曲が大人になっても強く残っていて、聴くと元気が出ることってあるから、この映画を観た子にとって私達の曲がそうなれたらいいな。あとは映画を通してみんなもっと『シナぷしゅ』のことが大好きになってほしいし、映画を通していろんな音楽を知ってほしいです」
Rachel「私にとっても初めての子どもとの映画館デビューになるし、自分の歌声を映画館の音響で聴くのも初めてなので、思い入れのある体験になりそうです。みんなにとっても何か辛いことがあった時とか、むしろめっちゃ楽しい時でも、いつでも戻ってこれる原点のような作品になったらいいな。みんなで泣いて笑って、（小学生以下のお子さまに配布される先着入場者プレゼントの）ぷしゅぷしゅタンバリンを鳴らして、ワイワイ盛り上がりましょう」
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【共通テーマ音楽コラム「あなたにとっての旅ソング」】
Rachel
The Dust Brothers「Single serving Jack」（『ファイト・クラブ』オリジナルサウンドトラック ）
映画『ファイト・クラブ』が大好きなんですけど、飛行機のシーンでかかっている曲なんですよ。この曲を飛行機のなかで聴くと絶好の“ファイト・クラブワールド”に入れるので、機内では必ず聴く私の旅ソングです。
Mamiko
Maiki au lakei「e pele」
小さい頃からよく車に乗る家庭で、その時によくかかっていたのがMaikiさんでした。太鼓を叩きながら歌うハワイの方なんですけど、これを聴きながら家族で逗子など海辺に行っていたので、聴くと海に行きたくなります。
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【プロフィール】
chelmico（チェルミコ）
RachelとMamikoの友達2人組で結成されたラップユニット。インディーズ活動を経て、2018年にワーナーミュージック内のレーベルunBORDEから待望のメジャーデビュー。これまで『POWER』『Fishing』『maze』『gokigen』と4枚のアルバムをリリースし、ラッパーとして成長し続けている。CMソングやドラマのテーマソング、アーティストへの楽曲提供、客演など、様々な方面で活動中。
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【MOVIE INFORMATION】
映画『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺにゅうワールド』
5月19日（金）公開
https://www.tv-tokyo.co.jp/synapusyu_movie/
監督：清水貴栄
劇伴音楽：信澤宣明
企画・プロデュース：飯田佳奈子
出演者：岩本彩楓 玉木宏 ほか
主題歌：chelmico「はじまりぷしゅ」「エンドロールぷしゅ」
制作：テレビ東京・CEKAI
配給：ローソンエンタテインメント『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺにゅうワールド』製作委員会
©SPMOVIE2023
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【クレジット】
Text 花倉有紀子
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