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    2021年4月24日 村上虹郎 Huluオリジナル「息をひそめて」インタビュー

     2020年のコロナ禍でのリアルな人々の生活を描いたHuluオリジナル「息をひそめて」。今作で“マッチングアプリ”をテーマに描いた第3話「君が去って、世界は様変わりした」に出演した村上虹郎に話を聞いた。

    ■今作の脚本を読んで、どんなことを感じましたか?

    「1話が30分しかないのに、人物の気持ちの変化がしっかりと描かれていたので驚きました。実は監督の中川龍太郎さんは、もともと知り合いで、本当に仲がいいんですが、お仕事をするのが初めてなんです。でも、だからこそ、今回当て書きのような役をいただいたので、演じていてすごくおもしろかったですね」

    ■中川監督とはどのようなきっかけで仲良くなったのでしょうか。

    「それが、覚えていないくらい前なんです。僕で“こういう作品を作りたい”というのがすごく明確にある方で、これまでも何本かプロットを僕のために書いてくれていたんです。ただ、全部ものすごい資金がかかるような壮大な作品で(笑)。なので、これまではなかなか実現に至っていなかったんですが、今回、初めて一緒にお仕事が出来るようになって、すごく嬉しかったですね」

    ■今作で演じたのは、アルバイトを転々とし、現在はゴミ収集業をして生活している“宮下心平”という人物。どのようなところが当て書きだと思いましたか?

    「中川監督は、本当に僕のことをよく知っているんです。だからこそ、“心平”の皮肉的で、ちょっと卑屈なところは僕と似ているのかなと思いましたね。ドラマでは描かれていないんですが、実はこの“心平”という役は、裏設定として、周りに不良がたくさんいる街で育っていて、そのなかで正義感が故に人を傷つけたことがあり、少年院にいた過去があるんです。ドラマではそんなことには一言も言及していないんですが、だからこその“卑屈さ”があるんです。でも暗い人間ではなくて。だから恋人もいたんですよね。暴力的なところはまったく違いますが、心平の社会一般に対する距離感を考えると、僕ともそこまで遠くない人物なんじゃないかな?って思ったんです」

    ■たった30分という時間の中で、人の心の移り変わりがぎゅっと表現されているように感じました。

    「そうですよね。あの短い時間で、そこがちゃんとフォーカスされているのは素晴らしいですよね」

    ■今作では安達祐実さんと共演されてますが、一緒にお芝居をしてみていかがでしたか?

    「すごく大人の方だなと思いましたね。肌を、身体を交わせても、どこかしら距離感があるんです」

    ■2人には、一見どこにも共通していることがないように思えて、実はすごく、寂しさがあり、人間を求めているようなところが似ているように感じて、観ていて胸が締め付けられる感覚になりました。

    「安達さんが演じた彼女(松崎妃美)の抱えている葛藤を心平は知りえないし、心平も彼女にわかってもらえない領域のままでの、この関係性って、すごく不思議ですよね。でも、それが観ていて想像力を広げてくれるので、すごくいいなと思ったんです。ちなみに、僕、長編が苦手なんです」

    ■だとしたら、本作はすごく適作ですね!

    「すごくよかったです。きっと、隙間の時間でも観れると思うので、みんなに観てもらえたら嬉しいですね」

    ■さて、今回は“コロナ禍”の世界について描かれていましたが、村上さんは、この影響でどんな心境の変化がありましたか?

    「実は、そこまで心境の変化がなかったんです。もちろん、周りの俳優達が発信し始めたり、動いたりしているのを見てはいましたし、自分も危機感がなかったわけではないんです。むしろ、いつも危機感を持っているタイプで。今回のことだけでなく、日本は震災国でもありますし、どんな時もこうなる可能性はあると思っています」

    ■STAY HOME期間中は、どんなことをしていましたか?

    「海外ドラマばかり観ていました。この機会だから、戯曲などを読んだりしようかなと思っていたんですが、ダメでした(笑)。やっぱり、どんな時も自分にフィットしたものじゃないと難しいことを実感しました」

    ■あはは。でもそれって真実ですよね。

    「そう思います。あとは、コロナ禍を経て、何か労力をかけることを大事にしたいなと思うようになりました。無駄かもしれないということに、もっとちゃんと時間をかけていきたいな、と感じていて。というのも、最近は目の前のことばかりに必死になっていて、どうしても遠くを見れていない気がしたんです。目先のタスクのためだけの努力しかしていないのって、ある種の消費だなって思ったんですよね。もちろん、それも間違ってはいないんですけど」

    ■“心の余裕”が必要、ということですよね。

    「そう思います。ちょっとなくなっているんですよね。それはすごくダメなことだと思うので、意識して生活していきたいなと思っています」

    ■さて、念願の中川監督とご一緒したわけですが、今後やってみたいものはありますか?

    「僕、中川監督からラブレターを何通ももらってるんです。便箋で、僕のいいところや、こういうのを撮りたいみたいな話がぎっしり書いてあるんです。実現が難しいようなものもたくさんあるんですが、そこまで求めてくれる監督さんがいるなら、一緒に実現していけたらいいなと思っています」

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    【共通テーマ音楽コラム:朝の目覚めに聴きたい1曲

    宇多田ヒカル「Beautiful World」
     実はちゃんと宇多田ヒカルさんを聴いたことがなかったんです。でも、映画『シン・エヴァンゲリオン』を観て、ハマってしまいました。書き下ろしなので、映画の世界観がものすごく強いんですが、とても素敵な曲なので、朝に聴くとすごくいいと思いますよ。

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    【プロフィール】

    村上虹郎(むらかみにじろう)
    1997年3月17日生まれ。東京都出身。今後は、映画『るろうに剣心最終章 The Beginning』(6月4日公開)、舞台「大パルコ人④マジロックオペラ『愛が世界を救います(ただし屁が出ます)』」(8月9日~ 31日東京・PARCO劇場他、大阪&仙台公演有り)、映画『孤狼の血 LEVEL2』(8月20日公開)などが控えている。

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    Photo ⇒ 大川晋児
    Text ⇒ 吉田可奈
    Hair&Make-up ⇒ 橋本孝裕(SHIMA)
    Styling ⇒ 大島陸
    Costume ⇒ ニット¥29,000、パンツ¥39,000/共にシュタイン(STUDIO FABWORK)、靴¥97,000/カルマンソロジー(ABAHOUSE INTERNATIONAL)
    ※全て税抜価格

    問い合わせ先
    ENKEL tel 03-6812-9897
    CAL https://calmanthology.com/

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    【DRAMA Information】

    Huluオリジナル「息をひそめて」
    4月23日(金)より、一挙独占配信中<全8話>

    第1話「人も場所も全ては無くなる」 夏帆、斎藤工
    第2話「帰りたい場所が、ずっとなかった」 石井杏奈、萩原利久、⻑澤樹
    第3話「君が去って、世界は様変わりした」 村上虹郎、安達祐実、横田真悠
    第4話「この町のことが好きじゃなかった」 蒔田彩珠、光石研
    第5話「たまに遠く感じる、君のことが」 三浦貴大、瀧内公美
    第6話「あなたの速さについていけないことがある」瀧内公美、三浦貴大
    第7話「誰のために歌うの?」 小川未祐、斎藤工
    第8話「この窓から見える景色が、僕の世界だ」 斎藤工、夏帆


    第3話「君が去って、世界は様変わりした」

    監督:中川龍太郎
    脚本:中川龍太郎、高田亮
    音楽:haruka nakamura
    撮影監督:上野千蔵
    エグゼクティブプロデューサー:長澤一史(HJホールディングス)
    チーフプロデューサー:茶ノ前香(HJホールディングス)
    プロデューサー:中村好佑(HJホールディングス)、佐野大(SPOON)
    制作プロダクション:SPOON
    製作著作:HJホールディングス

    第3話「君が去って、世界は様変わりした」