■4月に開催したライヴ（「YUJI NAKADA 10TH ANNIVERSARY SPECIAL LIVE “ALL THE TWILIGHT WANDERERS”」）のアンコールで、椿屋四重奏の再結成がありましたが、バンド当時を振り返ってみていかがですか？
「あの頃は、無理やり背伸びをして、大人っぽいものを作りたいと思っていたんです。でも、技術的に作れないから、“ロックバンド”というフォーマットでやるしかなかったんですよね。でも、友達も少ないから、メンバーも3人しかいなくて（笑）」
■そういう理由だったんですか⁉
「はい（笑）。他の楽器を頼みたくても、管楽器の人を知らないし…」
■管楽器があると、椿屋四重奏の音楽は映えそうですよね。
「そうなんですよ。すごく管楽器を使いたかったんだけど、どうにもできなくて。キーボードのプレイヤーを探すのも大変だったくらいだったんです。それは、友達がいないという簡潔な理由だったんですよね（笑）。でも、その限られた環境でやるカッコ良さもあって。特に若い頃は、そういったエネルギーのほうが、間違いなく輝くんですよ。色々と潤沢でないほうが、エネルギーって溢れるんですよね。それをどうにかして形にしようというのが、若いロックバンドのカッコ良さだと思うんです。当時は、ロックバンドをやりながら、“ロックバンドと同じことはしたくない”と思っていて。まぁ、今思うと十分ロックバンドなんですけど（笑）」
■あはは。ロックバンドでしたね。ギターロックバンド。
「ですよね（笑）。そのいびつさや、まとまってなさが、曲に味として出ていたと思います。あの日のライヴで2曲演奏した時に、全員が大人になっていて、“よくこんな曲を演奏していたな”って（笑）」
■ファンにとっては、スペシャルな時間だったと思います。
「そこはありがたいですね、反応もものすごくて。みなさんの青春時代の1ページに刻まれていたことを実感して、非常に嬉しかったですね」
■経験を重ね、40歳になると、自分の芯はしっかりとできていると思うんです。
「そうですね。やっと、時代を超越できたんですよ」
■超越？
「はい。もう流行り廃りと関係ないところに到達できたんです。スポットライトって、ぐるぐる回っているじゃないですか？ だから、たまに（自分に）当たる瞬間があると思うので、その時は照らしてもらったとしても、そうじゃない時も、地道に続けていることが大事だと気づいたんです。気持ち的には“老舗の和菓子屋さん”なんですよね。仕込みも毎日丁寧に、クオリティをちゃんと保っているという」
■“いざ勝負”となったら、いつでもそれが出せる、と。
「そうですね。いざテレビ取材が来た時には、いつでも美味しい和菓子が出せるという（笑）」
■あはは。
「だから、“簡単にうちの暖簾はつぶせませんよ”って言えるんです」
■今は管楽器の友達もいますか？
「できました！ よかった、よかった（笑）」
■そんな現在になったからこそ、音楽をより楽しめるようになったとも思うのですが、いかがでしょうか。
「楽しいですね。僕は音楽なしでは生活が出来ないんじゃないかなと思うくらい、毎日聴いていますし。最近は、ジャズばっかりを聴いています。いまどきのアッパーな音楽は、耳が疲れちゃうんですよ」
■おじいちゃんみたいなコメントですが…。
「おじいちゃんです（笑）。でも、海外の同じ位の年齢のミュージシャンは、しっかりと落ち着いた方向に行っているんですよね。ラナ・デル・レイや、ノラ・ジョーンズとか。大人になって、成熟していくのをちゃんとパッケージしているんですよね。そういう姿を見ていると、すごく勇気がもらえるんです。みんなルーツミュージックにしっかり向き合いながら、アプローチを変えて繋げようとしているのをすごく感じるんですよ。そこに鼓舞されて、日本でもそう言ったことをやりたいと思うようになったんです」
■中田さんの音楽は、映像ともものすごく相性がいいと思うのですが、たとえばタイアップなどを作る際に気を付けていることや大切にしていることはどんなことなのでしょうか。
「僕は、いつか映画の劇伴をやってみたいんですよ。作品に合わせて曲を作るのは、すごい得意なんです。すでに世界観がしっかりしているから、０から作るよりも作りやすいんですよね」
■好きなんですね。
「はい。なので、いつも仮想タイアップとしてイメージソングを作ってます。たとえば、これは「いいちこ」のCMとか（笑）」
■なるほど！ 勝手に主題歌を作っているんですね。今回のアルバムでもありますか？
「『わが身ひとつ』は、宮尾登美子さん原作の『夜汽車』という映画に感化されて書いたんです。あとは、田中裕子さんも大好きで、彼女の映画を観ると、必ずと言っていいほど曲ができるんです。あの色気と雰囲気が素敵なんですよね」
■田中裕子さんの作品では、ほぼ主題歌があるくらい…⁉
「ありますね。こんど、「裕子」ってアルバムを作ろうかな…？（笑）」
■あはは。楽しみにしていますね。
「でも、アルバムに１〜２曲は、必ず映画や小説からインスパイアされた曲があるんです。残念ながら非公式の主題歌なので、そろそろ公式の劇伴とか主題歌ができたらいいなと思っています（笑）」
■では最後にawesome!の読者にメッセージをお願いします。
「awesome!って、本当に目見麗しい男性が満載ですが、音楽でもそこを体験していただきたいですね。僕の音楽は、ダンディズムを大事にしていますし、男の哀愁を歌っているんです。目でイケメンを愛でながら、僕の歌を聴いてもらえたら、いい組み合わせになると思いますよ」
■“目からawesome!、耳から中田裕二”と！
「いいキャッチができました！ ぜひそれでお願いします（笑）」
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【共通テーマ音楽コラム「冬を感じる１曲」】
アート・ペッパー「Winter Moon」
この曲は冬をテーマに作られた曲なんですが、木枯らしが吹く冬にぴったりなんです。僕はレコードで聴いているんですが、本当に美しい曲なので、ぜひ聴いてもらいたいですね。冬の夜に、まさにピッタリな曲です。
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【プロフィール】
■中田裕二（なかだゆうじ）
1981年生まれ、熊本県出身。2000年にロックバンド「椿屋四重奏」を結成。2011年のバンド解散直後からソロとしての活動を開始。今後は、ワンマンライブ「中田裕二 年忘れ公演 2021」を、12月17日(金) 大阪・味園ユニバース、12月25日(土) 26日(日) 東京・日本橋三井ホールにて開催予定。
公式HP
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【CD Information】
New Album『LITTLE CHANGES』
2021.11.17 Release
CD+DVD
TECI-1746
Imperial Records / TEICHIKU ENTERTAINMENT
[CD]
01. Little Changes
02. Terrible Lady
03. 口ほどにもない
04. 魔性
05. けがれのなか
06. 疑問
07. 眩暈
08. こまりもの
09. わが身ひとつ
10. PALE STRANGER
[DVD]
“YUJI NAKADA 10TH ANNIVERSARY SPECIAL LIVE vol.3 “中田裕二の椿屋探訪” at 東京キネマ倶楽部 August”
01. トーキョー・イミテーション
02. 手つかずの世界
03. 硝子玉
04. 共犯
05. playroom
06. ミス・アンダースタンド
07. 螺旋階段
08. 春雨よ
09. 紫陽花
10. LOVE 2 HATE
11. アンブレラ
12. マテリアル
13. CRAZY ABOUT YOU
14. 君無しじゃいられない
15. 小春日和
16. 恋わずらい
17. 空中分解
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Text ⇒ 吉田可奈
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【応募締切】
12月14日（火）23:59まで
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