最新情報
music pick up
    2021年11月30日 中田裕二 アルバム『LITTLE CHANGES』インタビュー -前編-

     

    ■アルバム『LITTLE CHANGES』が完成した、今の心境を教えてください。

    「あらためて、すごくいい作品が作れたという実感があるんです。今は、とても充実した気持ちですね」

    ■コロナ禍での心境の変化はどんなことがありましたか?

    「前作の『PORTAS』が、コロナ禍に入ったばかりの頃に作り、どこか哲学的で、歌詞に重きを置いたアルバムになったんですよね。“こんな時代を、生きづらい世の中をどう生きるか”という、自分語りのようなところがあって。そこからまた状況が変わり、日常に戻りつつある時に、でもまだ本調子ではない、注意をしていかなくちゃいけない環境で今作を作り始めました。さらに、僕自身が40歳を迎え、これからどういう心構えで生きていけばいいのかということを、曲に描いていきたいと思ったんです。このアルバムって、ドラマティックなことや、スペシャルなことってあまり歌っていないんですよ。基本的には、日常で、誰しもに起こりうることを歌っていて」

    ■どんなことがあっても、日常は続く、ということですよね。だからこそ、歌詞に落とし込む言葉選びにも、気を遣ったのではないのでしょうか。

    「そうですね。“しっかりと次に進む”という芯は大事にしながら、制作を始めました。それに、この1〜2年、自分に本当に必要なものは何かを考えた時に、“自分自身が納得できることは、結局音楽しかないな”というところに行きついたんです。そこで、どんなことを歌っていくのがリアリティなのか?ということをすごく考えましたし、やっぱり嘘は歌えないので、“毎日楽しいね”という歌は今は歌えないな、と。だからこそ、現実に、真っ直ぐ、真摯に向き合った曲が並びました」

    ■そこで、あらためて気づいたことはありましたか?

    「結構、素直な言葉遣いになってきたと思いますね。昔は背伸びをして、簡単に言うとカッコつけて書いていた言葉が多かったんです。でも、今はその言葉と僕にギャップがなくなってきて。本当に自分の言葉として、気負いもなく、描きたい絵を言葉にしているような感覚なんです」

    ■自然体になってきたのかもしれないですね。

    「そう思います。自分とかけ離れすぎている言葉はあまり使わなくなりましたね。昔だったら、こういう言葉にしてたけど、今だとカッコ良過ぎるなとか、伝わりづらいなとか、そういうことは考えるようになりました」

    ■言葉通り、大人になったのかもしれないですね。

    「そうですね。本当に、そう思います」

    ■サウンドは技術も増えて、できることが増えたからこそ、あらためて表現できることも増えたのではないでしょうか。

    「そうですね。楽器のスキルは昔に比べたら断然上がりました。でも、テクニックを持ちつつも、あまり使わないんですよ。そこに美学を感じていて。今の日本の音楽って、フルにスキルと才能を使い過ぎるがために、どちらかというと“エゴ”を感じてしまうんです。どちらかというと、僕もかつてはそういうタイプだったと思うのですが(苦笑)。ベースをしっかりと固めた上で、あとはシンプルに、瞬発力だけでやったり。レコーディングに関しても、引き算をすることが多いんです」

    ■引く勇気も、必要ですよね。

    「そう思います。3作くらい前から、その勇気が持てるようになったんです。音と音の間に、“人間性”って出てくるんですよ。やっぱり、声も楽器も呼吸から生まれることだから、息を吸っている時が大事だったり、吐いている時に雰囲気が出たりとか、音への見方が変わっていったんです。なので、今作はかなり全体的に、シンプルに仕上げることを大事にしました」

    ■今回の作品では、かなり音数が少なくて驚きました。でも、だからこそ、中田さんが持つ妖艶さ、セクシーさ、エロさが出ているんだと思うんですよね。「そうですね。間に溢れる艶や色気、ムードというのは“引きの美学”なんです。相手にそう感じさせる、相手を引き寄せる、妄想させる力が大事だということに気付いたので、この巨大な音楽シーンの中で、これくらいシンプルに行く人が1人くらいいてもいいんじゃない?という気持ちでいます(笑)」

    ■それは、この20年で追求してきた結果だったんですね。

    「そうですね。気づいたらこういった意識になっていたので、これまでの経験がここに連れてきてくれたんだと思います」

    ■なかでも、全英語詞の「PALE STRANGER」には驚きました。

    「これは、コロナ禍で知り合ったドイツ在住のミュージシャンと一緒に作ったんですよ。彼に歌詞を書いてもらい、僕は曲を作ったんです」

    ■何がきっかけで知り合ったんですか?

    「僕のインスタをなぜかフォローしてくれていて。しかも“ミュージシャン”と書いてあったので、彼のYouTubeを見たら、(音楽が)ものすごく好みだったんです。それから連絡を取り合うようになり、仲良くなって。ただ、僕は英語ができないので、翻訳ソフトに助けてもらいました(笑)」

    ■すごく、今っぽい出会いですね。

    「すごいですよね。僕は、サウンドは洋楽志向なんですが、歌詞やメロは完全に邦楽なんですよ。そのギャップを楽しんでくださいという感覚があったんですが、実際はものすごく洋楽のメロディーにも影響を受けていたので、今回この曲を作れたのは嬉しかったですね。今後は、海外の方にも聴いてもらえるような音楽を作っていきつつ、邦楽も極めていきたいなと思っています」

    -後編に続きます!-

    ・・・

    【プロフィール】


    中田裕二(なかだゆうじ)

    1981年生まれ、熊本県出身。2000年にロックバンド「椿屋四重奏」を結成。2011年のバンド解散直後からソロとしての活動を開始。今後は、ワンマンライブ「中田裕二 年忘れ公演 2021」を、12月17日(金) 大阪・味園ユニバース、12月25日(土) 26日(日) 東京・日本橋三井ホールにて開催予定。

    公式HP

    https://yujinakada.com/

    ・・・

    【CD Information】

    New Album『LITTLE CHANGES』

    2021.11.17 Release


    CD+DVD
    TECI-1746
    Imperial Records / TEICHIKU ENTERTAINMENT

    [CD]
    01. Little Changes
    02. Terrible Lady
    03. 口ほどにもない
    04. 魔性
    05. けがれのなか
    06. 疑問
    07. 眩暈
    08. こまりもの
    09. わが身ひとつ
    10. PALE STRANGER

    [DVD]
    “YUJI NAKADA 10TH ANNIVERSARY SPECIAL LIVE vol.3 “中田裕二の椿屋探訪” at 東京キネマ倶楽部 August”
    01. トーキョー・イミテーション
    02. 手つかずの世界
    03. 硝子玉
    04. 共犯
    05. playroom
    06. ミス・アンダースタンド
    07. 螺旋階段
    08. 春雨よ
    09. 紫陽花
    10. LOVE 2 HATE
    11. アンブレラ
    12. マテリアル
    13. CRAZY ABOUT YOU
    14. 君無しじゃいられない
    15. 小春日和
    16. 恋わずらい
    17. 空中分解

    ・・・

    Text ⇒ 吉田可奈

    ・・・


    ★読者プレゼント★

    中田裕二さんのサイン入りポラを2名様にプレゼント致します♪

    【応募方法】
    awesome! 公式アカウント @BP25th_awesome をフォロー&RTしてくださった方の中から、抽選で2名様にプレゼント致します!
    ※ #中田裕二 #awesome_web のハッシュタグをつけてください。
    一言感想もいただけますと嬉しいです!
    ※発送先は日本国内に限ります。

    【応募締切】
    12月14日(火)23:59まで
    ※当選者の発表は、発送をもって代えさせていただきます。当落に関するお問い合わせはお受けできません。
    ※当選者の方にはDM(ダイレクトメッセージ)にてご連絡をさせていただきます。

    ・・・