6月30日で俳優デビュー15周年イヤーに突入する市川知宏さんと、16周年に突入した入江甚儀さんのお二人が、舞台『これだけはわかっている~Things I know to be true~』で兄弟の役で共演。それぞれにとっての節目となる作品になりそうです。
■同時期にデビューされ年齢も近いお二人ですが、15年前の印象と変わった点はありますか?
市川「当時僕は高校生だったので、その時と比べればお互いに大人になったんじゃないかな?」
入江「そりゃあ大人になってるよ(笑)。でも人としてのベースは変わらないかな」
市川「そこは変わってないね」
入江「ただ、当時よりもいい距離感になってきたと思います。“じんとも”としてのイベントを合わせると10回くらい共演してるし、個人的にも前はよくカラオケとか行ってたよね」
市川「行ったね~(懐)。ボウリングとかもやらなかった?」
入江「やったね。スパにも行ったしご飯を食べにも行ったし、普通の男子の遊びはやってたんじゃない?」
市川「やってたね。舞台の共演もこれまでに4回やってるし、その稽古終わりとかにも一緒にご飯を食べに行ったりしてたよね」
入江「役的にも兄弟とか因縁のライバルとか。キャスティングしやすいんですかね(笑)、二人の普段の距離感と舞台上の距離感がリンクしやすいのかな?って思うお仕事が多いですね」
■舞台上でも自然とホットラインができるんですね?
入江「多くを語らなくてもわかってる感はあるかもしれないですね。舞台って約1ヵ月の稽古期間で関係を築いていきますけど、その必要がないからラクな部分はあるかな?」
■そういう関係はなかなかないと思うので、素敵だと思います。そして今回の舞台では、4兄弟の兄マーク(市川)と弟ベン(入江)という関係ですね。台本を読ませていただいて感動しました。家族ってこんな感じだよな…お父さんとお母さんがいたから子供たちは好きなことができているんだな…とか、身に染みるエピソードばかりでした。
市川「僕は最初にお話をいただいた時に、台本が面白いとマネージャーさんに聞いていて、そこから読み進めていったんですけど、その想像を超える面白さがありましたね。家族一人一人の関係性だったり、家族だからこそ近すぎて言えないことだったり、誰のエピソードにも共感してしまう、そういうものがギュっと凝縮された素晴らしい作品だなと思いました。それが楽しみでもあり、ある意味プレッシャーかな?とも思いましたね。もうすぐ稽古が始まるんですけれど(取材時)、ちょっとソワソワしちゃいますね」
入江「そうだね。作品自体が大きな壁だよね。その分楽しみやワクワクもありますけどね。いっちーが言ってくれたようにすごく素敵な台本でした。あと僕が思ったのが、家族みんなで何かをするというよりも、家族の中にいる一人一人に焦点が当たっている作品だなと。それぞれにスポットが当たっている作品ってなかなかないし、それぞれ自分の問題に苦しんで向き合いながら、プラス、家族がそれをどう見るか、どう対応するか?というところが描かれているんですよね。友達だからこそ解決できる問題ってあって、意外と家族ではそれが解決できなかったりすることってあるじゃないですか。家族だから乗り越えられない部分というか。兄弟が抱えている問題って自分の中では解決できている場合もあるんですよね。でもそれをいざ家族に投じてみると、また問題が起きるっていうことも落とし込んであったり」
■そういうところはリアルですよね。だから家族には言えないっていう。
市川「特にマークは家族からの脱却を図っている人物なんですよね。世の中には自分の夢を実現するために両親の賛同を得なければならない人ってたくさんいると思うので、そういう意味では共感できる部分は多いんじゃないかな」
■ベンにはまた違う問題がありまして。
入江「そうなんですよ。それぞれが問題を抱えている中、ベンは特殊といいますか、法を犯してしまうんです」
市川「それに対して父親と母親も、問題をどう解決するかの違いがあるんだよね。夫婦の価値観の違いも描かれているのも面白いと思う」
入江「そうそう。愛しているからこその呪縛…というところもテーマのような気がしますね。愛していれば背中を押してあげたいというのが一般的だとは思うんですけど、愛していることが子供達の足かせになっているというジレンマを感じました」
市川「僕達は今、子供の役として台本を見てますけど、自分が親になった時にどう思うんだろう?っていうのは考えましたね。もしも子供がベンみたいな問題を起こしたら、警察に突き出せるのかな?とか、自分ができる範囲で手助けしちゃうんじゃないかな?とか。年代や立場によっても見方が変わるんだろうなって思うので、そこも面白さの1つかな」
■ご自身の家族のことを想ったりされたのではないですか?
市川「想いましたね。自分の家族に観てもらいたいですし、どう感じたのか聞きたいです」
入江「今回描かれている家族は“愛しすぎている”という問題を抱えているんですよね。でも日本ってそこは希薄な気がしていて。というのは家族内でのコミュニケーションやスキンシップをやっているのとやっていないのとでは関係性が違うと思うんですよね。たとえば“行ってきます”のハグやキスとか日常的にやっていると、仲直りのキッカケにもなりやすいでしょうし。だから僕もより多く言葉や態度で感謝の気持ちを伝えたいなって、読んでいて思いました。伝えそびれることがないようにしたいなって」
■お二人それぞれ、役作りのプランはお考えですか?
入江「僕がシンプルに思ったのが、一番かわいい息子であり、一番ぶん殴りたくなる息子であろうと(笑)」
市川「たしかにベンは一番かわいがられてるよね。特に母親からの愛が一番強いと思う。マークは長男としての責任をずっと抱えてきていると思うんですよ。世間体だったりとかね。あと台本を読むと父親との対立が大きいなと思っていて。父親って長男に自分を重ねることが多いような気がするんです。だから理想通りになってほしいなと思うんだろうし、そこの対立があった後の、もう1つの悩みを打ち明ける時に、どれくらい長男としての想いを保ちながら抱えたものを吐き出せるか。単純にバーッと溢れ出すんじゃなんくて、1つ1つ葛藤しながらそのセリフを吐いていきたいなって思います。腹の内をすべて曝け出すのって、わりと楽な気がするんです。それよりかはもっと言いたくないけど言わなきゃいけない、言わなきゃいけないけど言いたくない、そういった部分を繊細に描いていきたいなと思ってます」
■共演者のみなさんにはどのような印象をお持ちですか?
入江「フラン(母親)役の南果歩さんは、始まる前からフランが出来上がっているような気がしていて(笑)」
市川「そうだね(笑)」
入江「だから、どう演じてくるのかな?という想像はまったくなくて、台本のお母さんが現実に飛び出してくるようなイメージです。なのでお母さんの懐にどう飛び込んでいこうかな?というところがベンのテーマでもある気がしています」
市川「マークとしては、ボブ(父親)とフランって大きなハードルというか壁なんですよね。そういう意味では栗原英雄さんと南果歩さんって俳優の先輩としても強大な壁ですから、まだお会いしてないんですけどすごく頼もしく、遠慮なく全身でぶつかっていくしかないなと。それくらい大きな存在感のあるお二人です。むしろぶつかることしかできないんじゃないかと思うんですけど、ぶつかっていくことで自分もいい影響を受けていくことが、シンプルですけど一番いいんじゃないかな?って思いますね」
■お二人は過去にも兄弟役として舞台を経験していますが、今回はまた違った関係性になりそうです。
市川「今回は絡み的にはそんなにないんですよ。でも兄から見て、かわいがられている弟はウザったいですよね。要領がよくて甘やかされて育ってきたというところへの嫉妬もありますし、家の中でフットボール蹴ったりうるせーなと思ったり。もちろん愛してるんだけど、家族だからこそウザい部分はあるなと(笑)」
入江「以前一緒に出演した『大きな虹のあとで~不動四兄弟~』(2017、2018)でも、いっちーの弟役だったんですよ。その時は四兄弟で戦争という大きなものを乗り越えていかなきゃいけないという話だったんですけど、今回は個人個人が乗り越えていかなきゃいけない問題ですから、関係性は全然違うと思いますし、よくある兄弟の距離感のような気がします。つかず離れずみたいな。特に僕が演じるベンは、あまり他の兄弟に興味がないと思うんですよね。でも世間体はマークとは違った意味で気にしていると思うんです。周りの友達の家庭状況と自分を比べたり、無理に友達に合わせすぎたり」
■たしかにそれもありますね。では、お互いにこんな兄、弟がいたらどうでしょうね?
入江「このまんまの感じじゃないですかね?(笑)」
市川「たしかに(笑)。僕、実際は弟なのでお兄ちゃんの感覚がよくわからないんですけど、いろんな人を見ているとやっぱり長男長女は親からの期待が多い気がするんですよ。そこは次男なのでわりと甘やかされてというか伸び伸びとやらせてもらっているなという感じはしちゃいますね。だから長男からすると弟を羨ましいと思うのかな?って」
入江「僕は長男なんですけど、どっちかというと僕のほうが伸び伸びとやらせてもらっているのかな?って。15からこの仕事を始めて家を出ていますし、僕の家は世間的な兄弟イメージとは逆なのかもしれない」
■要はお二人とも伸び伸びと育ってきたということですね。
市川&入江「はい(笑)」
■それぞれにとって家族とはどういうものですか?
市川「家族は一番自分らしくいられる場所かもしれない。もちろん友達といてもそうなんですけど、わりと“ちゃんとしなきゃ”って思っちゃうタイプなので、家族とはやっぱり気づかいのレベルが違うんですよね」
入江「家族とは…この世に生まれて初めて背負う運命。だって自分では生まれてくる家族を選べないですよね」
■なるほど。それって今回の舞台のテーマにも通じているような…。
入江「ですかね?」
■では、お互いに“これだけはわかっている”と思っていることはありますか?
市川「筋トレ頑張ってるよね?」
入江「(笑)そういうことですね?」
■そういうことです(笑)。
入江「いっちーは、アロハが似合うってことはわかってる」
市川「!(笑)」
入江「あとは作品に臨む上で、いっちーのほうがより深く考えるタイプだと思います。その悩みがいい方向で役に反映されそうだなって気がしますね」
市川「あー…。そう言ってもらえると、なんか救われます」
■そんなお二人が15周年を1つの区切りとして、今後やってみたいことなどありましたらお願いします。
市川「ゴルフ場での撮影がありまして、打ちっぱなしでちょっと打たせてもらったんですよ。結構楽しかったので、将来的にはゴルフを趣味にしたいなと思ってます。前回の取材でお話した山登りも引き続き趣味にしていきたいです。…なんか年齢を重ねてきて、自然を求めてるのかな?って自分で思うんですよね。お仕事的にはずっと続けていくことが理想なので、今はやっぱりいろんな作品といろんな役に出会いたいですね」
入江「僕もついこの間30歳になって特に何も変わらないけど人生的には1つの節目だと思うんです。そういった意味で仕事でもプライベートでも意識的に変わる部分はありますね。たとえば今回の舞台は家族の話ですけど、今後家族ができるかもしれないですし、今まで考えてこなかったことを考えるタイミングではあるかな? あとは、朝ドラに出たいです」
■お、具体的な目標が出ましたね。
入江「先日、実家に帰って思ったんですけど、どこに行っても放送されていて、おばあちゃんも観てるし、やっぱりすごい力だなと思ったんです。俳優って誰かが喜んでくれる力を持っている仕事だと思いますし、自分もそういう影響を与えていきたいなと思ったんですよね。意識が自分だけじゃなく、外へ向く年齢になってきたので、そのためにももっと力をつけていきたいです。あとは筋トレですね。体を鍛えることはモチベーションに繋がるので続けていきます」
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【共通テーマ音楽コラム「あなたにとっての夏ソング」】
市川知宏/ケツメイシ「君との夏」
夏の失恋ソングで、3年に渡る恋の話なんですよ。でもポジティブに捉えていて、次に進もうとしているんですよね。夏ならではの甘酸っぱさも好きですし、軽快なメロディも夏っぽくてすごく好きです。
入江甚儀/小袋成彬「Summer Remind Me」
子どもの頃の夏休みってエモーショナルだった気がして。冒険して迷子になったりとか、大人になるキッカケがあったりするんですよね。そういう過去の自分を想起させるような歌で、僕は大好きです。
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【プロフィール】
市川知宏(いちかわともひろ)
1991年9月6日生まれ。東京都出身。近年の出演作は、ドラマ「飴色パラドックス」「オールドルーキー」「教場II」「仮面ライダーセイバー」、映画『なのに、千輝くんが甘すぎる。』など。現在、日本テレビ系にて毎週木曜23:59〜放送のドラマ「勝利の法廷式」、BS-TBSにて毎週木曜23:00〜放送のドラマ「僕らの食卓」、東海テレビ・フジテレビ系土ドラ「テイオーの長い休日」第3話に出演。
入江甚儀(いりえじんぎ)
1993年5月18日生まれ。千葉出身。最近の出演作は、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』『有り、触れた、未来』『窮鼠はチーズの夢を見る』、ドラマ「THE DAYS」「ブラッシュアップライフ」「Get Ready!」「霊媒探偵・城塚翡翠」など。今後は舞台『あの夜であえたら』(10月14日・15日に東京国際フォーラム ホールAにて開催)などを控える。
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【STAGE Information】
tsp NextStage「これだけはわかっている ~Things I know to be true~」
6月30日(金)〜7月9日(日) 東京芸術劇場シアターウエスト
作:アンドリュー・ボヴェル
翻訳:広田敦郎
演出:荒井遼
出演者:南果歩 栗原英雄 山下リオ 市川知宏 入江甚儀 山口まゆ
主催製作:tsp Inc.
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【クレジット】
Photo 大川晋児
Text 三沢千晶
Hair&Make-up Ryo Matsuda(Y’s C)
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