最新情報
interview
    2025年2月24日 平岡祐太 映画『REQUIEM~ある作曲家の物語~』インタビュー

     平岡祐太が主演を務める映画『REQUIEM~ある作曲家の物語~』が2月28日より公開される。数々のドラマ・映画などの劇伴を務めるなど、音楽家として活躍する菅野祐悟の初の長編監督作となり、どこか菅野自身が投影されたような天才作曲家の城島匠役を平岡が演じた。独特の色彩感で表現される映像美と、菅野が手掛ける音楽が融合し、映画でありながら、絵画、音楽そのものを鑑賞しているような不思議な感覚へと誘われる本作。そんな世界観の中で、平岡はどのように城島という役と向き合っていたのだろうか。

    ■出演が決まった時の印象は?

    「監督の菅野祐悟さんのことは、僕が以前、出演した作品の劇伴も担当されていたので、存じ上げてはいたのですが、映画も撮られていることに驚きました。それから、自分がピアニスト役を演じられることにとても惹かれて。僕自身、音楽がすごく好きなので、ちょっと呼び寄せられた感覚もありました。後日、菅野さんと実際にお会いして話した時に、「今までに観たことのないアート映画を撮りたい」とおっしゃっていて。実際にそれがどんなものなのかは菅野さんの頭の中にしかなかったんですけど、その熱意で走り出したような感覚でした」

    ■この映画がどんなものになるのか、その段階で平岡さんの中ではどの程度、イメージできていたのでしょうか。

    「僕の中では演じる城島が天才作曲家ということしか(苦笑)。一応、準備稿の台本は読んだのですが、そこからどんどん変わっていったので。正直なところ、撮影に入っても何を撮っているか分からないこともありました。いつもの現場であれば、カット割りによって、大体、何を撮っているか分かるんです。例えば、リアクションを撮っているんだろうな、とか、クローズアップが2回続くんだろうな、とか、このヒキの画で何を見せたいのか、とか。でも、菅野さんの場合、それが分からないんです。クランクインをして最初のシーンが、海辺で城島が神野(けいちゃん)の車椅子を押す場面だったんですけど、「この20メートルの範囲内でセリフを言ってください」としか言われなくて。しかも、カメラを確認してみると、自分が思っている方向とは全然違うところを向いていたりして。そういう意味で、何を撮っているのか分からないというのはありました」

    ■ただ、そのシーンは美術館に飾ってある絵を見ているかのように美しかったです。

    「たぶん、菅野さんの中でシンメトリーになる画作りというのが、一つ、軸としてあったんだと思います。それは、撮影5日目ぐらいにようやく理解できました。撮った時にセンターがどこになるのかとか、それに対しての物の位置とかをすごく気にしているということに徐々に気づいたんです」

    ■現場を通して監督が撮りたいものが徐々に見えてくる感覚でしょうか。

    「何を撮っているのか分からないというのは、僕にとっては不安な状態ではあったんですけど、城島という人についても、僕が最初に考えていた以上に、菅野さん自身が投影されたキャラクターだというのが徐々に分かってきました。単に作曲家という共通点だけでなく、自分自身を投影したキャラクターなんだろうなと。衣装も菅野さんの私物が使われていたりするんです。それを踏まえて、であれば、お芝居にも菅野さんの癖を混ぜていこうと思って、現場では菅野さんをよく観察していました。菅野さんからは「僕、そんなことしてる?」って言われましたけど(笑)」

    ■平岡さんが撮影前に捉えていた城島像とは変わった部分もありましたか。

    「僕はもっと華やかな天才作曲家をイメージしていました。表ではヒーロー的な存在で、でも、裏ではいろんな葛藤も抱えていて、というような。でも、実際の城島は表に出ることを恥ずかしがったり、割とミステリアスな印象になった気がします。芝居の仕方としては、さっき言ったシンメトリーを意識しながら、その中で、どう城島を見せていくのか、という方向にシフトしていきました」

    ■全体的に絵画のようでありながら、時に、その中にいる人たちが生っぽく見えるところもあって、その違和感のようなものが気になるポイントにもなると感じました。

    「あまりにアートに寄り過ぎてしまうと、心が置いてきぼりになるような感覚もあったので、流れの中で出すべき感情は出していくことを意識していました。あとは、監督が大衆的なエンターテイメントに寄った作品になってしまうことを気にしていたので、普通ならセリフはきっちり伝えますが、逆にはっきり伝えず、なんかしゃべっている感じが出てればいいみたいなこともありました」

    ■演者として、そういう現場はどうなのでしょうか。

    「最初は不安でしたけど、やっていく中で、「面白いものになるかも」と思えるようになりました。僕自身、経験したことのない感覚の中でお芝居をしていたので、まだ見たことのない自分に出会えるかもという気もしてきて。大変ではありましたけど、途中からは面白くなっていきました」

    ■城島は亡き親友・神野に対して複雑な想いを抱いていますが、その心境はどう捉えていましたか。

    「自分の周りでも亡くなった方々はいらっしゃって、その人たちから教わったこととかが、自分の中にいるんだなと感じることはあります。だから、城島もそういう影を背負いながら生きているんだろうと思いました。人によってはいい思い出ばかりではなく、トラウマになるようなこともあるかもしれないですけど、それを跳ね返すために頑張れたりもするので。城島のそういう気持ちは共感できる部分かなと思いました」

    ■完成作に対して「想像していた以上に不思議」とコメントされていましたね。

    「今まで観たことのないものを観たと感じました。アート作品というジャンルに振り切っているのは、とても面白かったです。音楽も劇場で聴くと、より臨場感を得られると思います。特にピアノのシーンとかは、劇場で観てもらえるといいなと思います」

    ■ピアノのシーンはどの程度、ご自身で演奏したのですか。

    「音に関しては差し替えられている部分もありますけど、現場では手元も全部、自分で弾きました。普段からピアノは弾いてはいますけど、事前に楽曲と譜面はいただけたので、練習できました。ただ、全部の譜面をもらえたのがかなりギリギリのタイミングで(苦笑)。練習時間が取れなくて、そのおかげでピアノ演奏に対してムキになれたところがあって。城島は余裕があるタイプの人ではないので、結果的にはそこは良かったのかなとも思います。いろんな意味で、鬼気迫るものはありました」

    ■具体的なシーンの話も少し伺いたいのですが、個人的に姫野(安井謙太郎)とのダンスシーンが気になりました。

    「無茶ぶりなんですよ、あれ(笑)。菅野さんから「なんかやるよ」とは言われていたんですけど、何をやるかは分かっていなくて。現場に行ったら「じゃあ、今日これをやってください」と言われて。台本を読んでいても前後とつながりがないから、唐突過ぎて、予想できませんでした。向井さん(桜井玲香)と踊りながらピアノの前に移動するというシーンも、当日「なんかない?」みたいな話からやることになったんです」

    ■菅野さんのインスピレーションが詰まった作品なのですね。

    「前々から決めているのかと思いきや、その場のノリみたいな部分もわりとあって。ただ、色とか、そのバランスにはすごくこだわられていたと思います」

    ■安井さんとは以前からお知り合いだったとか?

    「何人かで集まる時の仲間の一人で、一緒にご飯を食べたり、その仲間で(安井が所属するボーイズグループ)7ORDERのライヴを観に行ったりもしました。だから今回、一緒にお芝居をするのは少し恥ずかしさもありました(笑)。謙ちゃん(安井)のプライベートではない、プロの姿を見るのが初めてだったので。撮影の合間はなんてことのない話をずっとしていましたけど、城島が姫野を迎えに行くシーンでのあの表情はすごいなと感じました。あの場面は、普段の僕らの関係性があったことも良かったのかなと思ったところですね」

    ■改めて、今作の見どころを教えてください。

    「なかなか珍しい映画だとは思うんですけど、アート作品としての色彩美や音楽は素晴らしいと思います。そこは、劇場に来てもらえないと体感できないものになっているかと。日常とは離れて、美術館に来るような気持ちで映画館に足を運んでいただけたらと思います」



    ・・・

    【音楽コラム「あなたにとっての旅ソング」】
    Pharrell Williams「Happy」
    以前、アメリカのニューヨークに1ヵ月くらい滞在したしたことがあって、その時によく聴いていた曲です。ニューヨークという街の中でこそ感じられる雰囲気がこの曲の中にはあって。聴きながら街を歩いていると、より一層、周りが輝いて見えました。一人で滞在していたので、めっちゃ寂しかったんですけど(苦笑)。今でも聴くと、当時のことを思い出します。


    【プロフィール】
    平岡祐太
    ひらおかゆうた。1984年9月1日生まれ。山口県出身。近年の出演作は、ドラマ「放課後カルテ」「D&D~医者と刑事の捜査線~」「マイ・ワンナイト・ルール」、映画『夏目アラタの結婚』など。主演映画『REQUIEM~ある作曲家の物語~』が2月28日に公開される。


    ・・・
    【クレジット】
    Photo 大川晋児(Sirius)

    Text 瀧本幸恵
    Hair&Make-up MIZUHO(Vitamins)
    Styling  石橋修一
    Costume
    JOSEPH HOMME/オンワード樫山 お客様相談室 03-5476-5811KASHIYAMA/カシヤマカスタマーサポート 0800-111-1570

    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

    【MOVIE Information】

    映画『REQUIEM~ある作曲家の物語~』

    2 日 28 日(金)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほかより全国ロードショー

    監督・音楽:菅野祐悟
    脚本:宇咲海里
    キャスト:平岡祐太/桜井玲香 安井謙太郎 けいちゃん/関川ゆか 上地由真 藤田多梨亜 西尾聖玄/加藤雅也
    挿入歌:mahina 「STAY TRUE」
    配給・宣伝:アイエス・フィールド/S・D・P
    ©️2024「REQUIEM」製作委員会


    −−−

    ★読者プレゼント★


    平岡祐太さんのサイン入りポラを1名様にプレゼントいたします♪

    【応募方法】
    awesome! 公式アカウント @BP25th_awesome をフォロー&RTしてくださった方の中から、抽選で1名様にプレゼントいたします!

    一言感想もいただけますと嬉しいです!

    【応募締切】

    2025年3月9日(日)23:59まで
    ※発送先は日本国内に限ります。
    ※当選者の発表は、発送をもって代えさせていただきます。当落に関するお問い合わせはお受けできません。
    ※当選者の方にはDM(ダイレクトメッセージ)にてご連絡をさせていただきます。