2018年。“恵比寿学園男子部”(通称EBiDAN)からの派生プロジェクト“EBiDAN THE STREET”内のダンス&ボーカルユニットEBiSSHとさとり少年団からなるグループが合体し、ONE N’ ONLYというグループは誕生した。
彼らが正式にONE N’ ONLYとしてその後2018年の11月21日にデビュー曲として世に放つこととなった「I’M SWAG」のMVを公開したのは同年5月のこと。その再生回数は1ヵ月で100万回再生突破するという快挙を成し遂げ、それに続き、デビュー前の8月に公開された「Sexy Beach Party Yes!!」のMVもまた“2週間程で200万回再生突破”という好調な走り出しで、早くも自身の記録を塗り替えていったのだ。 現在では、原因は自分にある。、BUDDiiS、そして、自らと同じ日に初披露となった最新グループLienelという後輩のグループもでき、3月にはグループ初主演の映画『バトルキング!!‐We’ll rise again‐』も公開され、4月にはリオデジャネイロ、サンパウロ、ポルトアレグレという3都市での海外単独公演を成功させ、ますます勢いに乗る彼らは2023年に5周年という一つの節目に立つこととなったのだ。
5月7日東京国際フォーラム ホールC。
5月1日の初日であった日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール(愛知)に続いて2本目のライヴ。彼らにとって初のホールライヴとなる。初日にしっかりと手応えを感じ取ったのであろう6人は、1曲目に選んでいた「We’ll rise again」を堂々たる出で立ちで歌って届けた。EIKUの歌い出しから始まる幕開けに相応しいオープニング感が漂う「We’ll rise again」が、SWAG(ONE N’ ONLYのファンの名称)の心を鷲掴みにして引き寄せたのが見て取れた。5年間積み重ねてきた経験を自信に変えて全力でパフォーマンスする6人の漲る想いが、しっかりと届ける側に伝わっていたからだろう。間髪入れずに「What’s Your Favorite?」へと繋げ、「We’ll rise again」同様に洋楽要素を存分に取り込んだ視野の広さを感じさせるアグレッシブな歌唱とパフォーマンスで惹き付けていった。5月17日に発売を控える2ndアルバム『Departure』からも、「Departure」「OPEN」「Reflection」が届けられたのだが、彼らが2枚目のアルバムタイトルに選んだ“出発”という意味に相応しい、現在いる場所からの更なる飛躍を感じさせる力強いパフォーマンスを見せてくれたのがとても印象的だった。
アルバムタイトル曲「Departure」で魅せたラップが軸となる毒々しく怪しげな曲。EBiDANの中でも異端児色が強いワンエンならではの攻め曲だ。洋楽のヘヴィロック要素が強い新曲「OPEN」はこれまでのワンエンにはなかった新たな攻め曲。伸びやかに歌声を響かせる歌唱も素晴らしかったが、歌のない長めの間奏で見せた6人が一丸となったダンスパフォーマンスも、スラップが肝となるアタック感の強さと、マイナーコードとメジャーコードを行き来する絶妙なメロディが魅力的な「Reflection」でのパフォーマンスも、ワンエンの魅力を充分に発揮し、SWAGを魅了していたのだった。
「YOUNG BLOOD」ではHAYATOとKENSHINが曲中にSWAGを煽り、ライヴを盛り上げていった。
SWAGを沸かせていたオフショットをドラマティックに編集した映像を挟み、ライヴは後半戦へ。
赤いシャツと黒の細身のネクタイとスラックスで揃えた6人が再びステージに現れると客席は大きな歓声を上げた。
そこからは5周年の節目を感じさせるデビュー曲「I’M SWAG」から、「Dark Knight」「Category」というワンエンの歴史を時系列で届けSWAGを喜ばせていた。 それぞれの曲の最後に当時の想いを語った次曲の曲紹介を入れて繋げていった流れは、当時の景色を思い浮かばせ、改めてこの6人でONE N’ ONLYとして活動することになった必然的な奇跡を感じさせた。
「こうして2つのグループからできたONE N’ ONLY。この5年で仲間との別れだったり、当たり前が当たり前じゃなくなってしまったり、いろんなことがあった。泣きたくなる時も逃げ出したくなる時もたくさんあった。でも、そんな時SWAGが居てくれたからここまでやってこれた。僕達を見つけてくれてありがとう。輝ける場所をくれてありがとう。これからも幸せになろうね」 (NAOYA)
そんなNAOYAの言葉を挟み、曲は「Don’t worry」へと繋がれた。 NAOYAの言葉の続きが歌詞になって乗せられた様な柔らかなメロディは、優しくSWAGと彼らを包み込んだ。
「Video Chat」では、ステージに上がったカメラに向かってメンバーが覗き込むように話しかけ、6人が戯れるようなキュートな仕草をキャッチーなダンスパフォーマンスに組み込んで届けた。硬派で力強く、異端な印象が強いワンエンとは違う等身大のナチュラルな姿に、会場はSWAGの黄色い歓声で埋め尽くされていた。
「この5年間、僕達ONE N’ ONLYにはいろんなことがありました。でも、いつも困難にぶつかった時、SWAGのみんながいました。これからどんなことがあっても、唯一無二の存在でいます」(REI)
この言葉の後に届けられたのは「We Just Don’t Care」。歌唱力の高さと表現力の高さが際立つこの曲に、“綺麗じゃなくたってalright思いはずっと止まらないことをWe know 誰かに笑われてもWe just don’t care 一番じゃなくたってalright I love myself ずっと変わらないことをwe trust 誰かに試されてもWe iust don’t care”というメッセージを乗せて届けた。
好調なデビューから間もなく、世界の当たり前を大きく壊してしまった新型ウイルスにより、彼らとSWAGが出会う機会も減ってしまい、思い描いていた夢が大きく砕かれてしまったこともあっただろう。5年という活動期間の約半分以上が思い通りにはいかなかったという不遇の境遇でもあったが、そんな境遇が彼らとSWAGの想いを更に強く繋ぎ直したように思うのだ。
“例え僕ら正解と違うそれぞれの道を選んでも 自分を愛せば笑い合えるさ”
彼らはきっと、会えなかった時間の中で、そんなことを自分達に言い聞かせながら、再びこうして一緒に騒げる場所を夢見ながら懸命に前を向いて頑張ってきたのだろう。
ライヴ後半。歓声もOKになった完璧なライヴの中で、彼らは待ち侘びていた想いを演出として組み込んでいたのだ。「Step Up」が始まると、なんとメンバーは客席に向かって一斉に走り出したのだ。心からの笑顔をぶつけ合った6人とSWAG達の嬉しそうな表情が今も忘れられず胸に残っている。
鳴り止まないアンコールに応えて届けられたのは「My Love」。SWAGへの想いをストレートに伝えたような純粋で曇りのないラブソングを6人とSWAG達は同じ想いで共に歌った。
結成から5年。ONE N’ ONLYはここから始まるのだと確信できた瞬間でもあった。 彼らは最後にニューアルバム『Departure』から、「10,000miles」と「Call Me」を 曲タイトルの“10,000miles”は、日本からブラジルまでの距離で、ミドルテンポな曲調にボーカルを重ねると、ありのままの表情を表現できるのだとTETTAがアルバムインタビューの時に語ってくれた全英詞で歌われる鮮やかな「10,000miles」。この曲を歌う彼らを見た時、日本だけに止まることなく世界に大きく羽ばたいてくれるであろう期待が湧きあがった。そして、最後に届けられたレゲエのリズムとゴスペルの様な空気感を宿した「Call Me」には、彼らの無限大な振り幅の広さに未来を感じた。
現時点での全てを出し切った最高なライヴだったと言えるだろう。でも、まだまだ。もっともっと彼らなら上を目指せる。そう思った。今、彼らは力を温存している状態にあること。5周年という節目に届けたライヴは、EIKU、TETTA、REI、HAYATO、KENSHIN、NAOYAにとって、改めて“ONE N’ ONLYという一つの力”を感じさせたキッカケになったに違いない。きっと彼らは個々の成長をしっかりとONE N’ ONLYに持ち寄り、SWAGと共にその力を大きな魅力に変えていってくれることだろう。
本来ツアーファイナルであった5月21日に大阪の堂島リバーフォーラム公演はソールドアウトし、6月25日に東京国際フォーラム ホールCにて追加公演の開催が決定している。この先、更に進化した彼らに会える日が楽しみでならない。
(Photo■ 笹森健一/文■武市尚子)
【セットリスト】
M1:We’ll rise again
M2:What’s Your Favorite?
M3:Departure
M4:OPEN
M5:Reflection
M6:YOUNG BLOOD
M7:Get That
M8:I’M SWAG
M9:Dark Knight
M10:Category
M11:Don’t worry
M12:Shut Up! BREAKER
M13:Video Chat
M14:We Just Don’t Care
M15:YOU???
M16:GIFT
M17:HOLIDAY
M18:Step Up
M19:Last Forever
EN1:My Love
EN2:10,000miles
EN3:Call Me
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【プロフィール】
ONE N’ ONLY(ワンエンオンリー)
6人組ダンス&ボーカルユニット。世界各国から注目され、4月にブラジル3都市をまわるワンマンでの初のラテンアメリカツアーを開催した。音楽活動にとどまらず、3月にはグループ主演映画『バトルキング!!-We’ll rise again-』が公開。5月から6月にかけて初となる東名阪ホールツアー「ONE N’ LIVE 2023 〜Departure〜」を開催中。現在、初ライヴから5周年を記念したスペシャルプロジェクト「5 N’ 5」を行なっている。
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