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    2021年1月19日 ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』featuring SPAM® ゲネプロレポート

    2021年1月17日 東京建物 Brillia HALL

     “コメディの名手”福田雄一が上演台本・演出を務める、ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』が1月18日(月)より開幕。前日の17日(日)に直前取材と公開ゲネプロが行なわれた。

    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり

     本作は、イギリスの人気コメディ・グループ“モンティ・パイソン”の大ヒット映画を元に作られたミュージカル作品。2005年のトニー賞では、最優秀ミュージカル賞をはじめ、3部門を受賞。日本では、2012年に初上演、2015年に再演され、今回は大幅にキャストを入れ替えての6年ぶり3度目の上演となる。

    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり

     神のお告げをうけたアーサー王が従者パッツィを連れ、家来となる円卓の騎士を集めて聖杯を探す旅に出るというストーリー。その道中、次々と起こる奇想天外なハプニングが、彼らの行く手を阻む。

    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり
    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり

     主演のアーサー王役を山田孝之が務め、円卓の騎士となるランスロット卿役を賀来賢人、ロビン卿役を小関裕太、ガラハッド卿役を三浦宏規が、パッツィ役を矢本悠馬、ヒロインとなる湖の貴婦人役を新妻聖子が演じ、お笑いコンビ“シソンヌ”のじろうと長谷川忍は、物語のナビゲータとなる歴史学者から、王子役、その父親役などさまざまな役柄に扮する。

    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり

     物語はアーサーが馬という体のパッツィを連れ、円卓の騎士を集めるために各地を巡るところから始まる。最初に出会うロビン卿は、パッツィを馬と言い張るアーサーと、馬の足音を鳴らすココナッツをどうのように入手したかで不毛な論争に。そこへランスロットも加わり、不毛さが増していき……。

    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり
    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり

     直前取材で本作の見どころを聞かれた山田は「賀来賢人のお芝居です」と即答。その言葉通り、賀来はランスロット卿を筆頭に、いくつかの役を演じ分けるのだが、どのキャラクターでも必ず笑いをかっさらう活躍ぶり。永遠に終わらない?と思うほど、ボケにボケを重ねて、観客だけでなく、共演者たちも笑わせていく。城壁から顔を出した瞬間から思わず笑ってしまったフランス衛兵役の独壇場は必見だ。

    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり
    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり
    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり

     そんな賀来が初演の際に演じたガラハッド卿を演じる三浦は、三重県出身の武器を活かしたテンポのいい関西弁でまくし立てたかと思えば、ナルシストな役を振り切って演じて、笑いを起こす。また渾身のボケを披露するシーンでは……ぜひ劇場でその奮闘ぶりを見届けてほしい。

     シソンヌの2人は、誰が相手でも必ず最後には笑いに落とすテクニックで、安定的に笑いを供給。特にじろうが演じるハーバート王子と、長谷川が演じるその父との場面では、「これってシソンヌのネタ?」と勘違いするような、息の合った掛け合いも披露。そこに巻き込まれていく賀来、矢本、小関も含めて、この場面だけ切り取っても公演ができそうな仕上がりぶり。さらにじろうは、新妻から「若い頃の私みたい」とも言われたというハイトーンボイスで、歌でも活躍し、その歌声だけでも笑いを取る。

    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり

     そして、本作が“ミュージカル”であることをきっちり見せてくれるのが、小関と新妻の存在。得意のタップダンスを始め、小関の華麗なダンスには目を奪われるシーンが何度も。いわずもがなの新妻の歌声は、まさに圧巻。馬鹿々々しさしかない歌詞の歌を、会場を震わせるほどの本域で歌い切る。

    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり
    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり

     そうやってそれぞれの役者が自分の個性を発揮できるのも、真ん中にいる山田と、その相棒役の矢本がしっかりと軸を担っているからこそ。アーサー王は全編に渡ってふざけたことしか言わないようなキャラクターなのだが、山田が淡々と、まさに“仕事人”と言いたくなるような、一定のテンポと声色で言葉を発するので、その実がおかしいことがジワジワと浸透してきて、笑いが止まらなくなる。矢本はひたすらボケ続ける山田はもちろん、すべての役者のボケを拾いまくって、ツッコミを入れ続ける。矢本のツッコミがあることで、全員のボケが輝く。

    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり
    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり

     このそれぞれの役者の活躍は、やはり福田の巧みな脚本と演出があってこそだろう。個々の一番いい部分を磨き抜き、それをバランスよく配置しているのは、ある意味で“芸術”。そこに福田作品ではテッパンの時事ネタやパロディネタも入れ込んでくるからたまらない。話題のアイドルから、昨年大ブームとなったあのキャラクターも登場!? かと思えば、おじさんにしか共感できないような細かなネタもあるので、お見逃しなく。

    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり
    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり

     「ここにいる時間ぐらいは、いろいろあるだろうけど、嫌なことを忘れて、とにかく笑ってもらうということを目標に、スタッフ・キャスト合わせて頑張って稽古をしてきたので、本気で受け取って、笑ってもらえたら」(山田)という本作。こんなときだからこそ、観に行ける方には、思いっきり笑い倒してほしい。
    (Text ⇒ 瀧本幸恵)

    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり
    ©ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」製作委員会/岩田えり


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    【Stage Information】



    ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』featuring SPAM®

    1月18日(月)〜 2月14日(日) 東京建物 Brillia HALL
    2月18日(木)〜 2月21日(日) 大阪オリックス劇場
    2月26日(金)〜 2月28日(日) 福岡市民会館大ホール



    脚本・詞:エリック・アイドル
    音楽:ジョン・ドゥ・プレ&エリック・アイドル
    原作:映画『Monty Python and the Holy Grail』より
    上演台本・演出:福田雄一
    出演:山田孝之/賀来賢人/小関裕太 三浦宏規/
    矢本悠馬/じろう(シソンヌ) 長谷川忍(シソンヌ)/新妻聖子
    坂元宏旬 高橋卓士 常住富大 広瀬斗史輝 横山 敬 横山達夫
    井上花菜  植村理乃  小山侑紀 竹内真里  永石千尋  森 加織(男女別 五十音順)
    公式HP:https://www.spamalot.jp/




    ★ awesome!Plus Vol.07

    表紙:山田孝之×賀来賢人

    山田孝之さん×賀来賢人さん、小関裕太さん×三浦宏規さん、作品紹介による
    ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』featuring SPAM® 巻頭42ページ特集をお届け致します!


    https://awesomemagazine.jp/2020/12/14/awesome