今年春に、GMMTVが制作したBLドラマ「Fish Upon The Sky」。次世代に期待ができる次世代の若手俳優が主演ということもあり、あまり見慣れないキャストだからこそ、“まだ見ていない”という人も多いのではないでしょうか。でも「2gether」「Theory of Love」などを生み出した天下のGMM！　その躊躇は必要ありません！　観れば必ずハマる、コミカルで、でも心をグッと掴む、珠玉のラブストーリーに仕上がっているのです。

　今作の主役は、いわゆる“オタク”の冴えないピー。友人だと思っていた人から“唯一の長所はイケメンの兄がいるだけ”と言われてからは、誰も信じられない日々を送っていました。劣等感をこじらせ、誰も自分を愛してくれないと思い込んでいたなか、目の前に現われたのは、雨の日に傘に入れてくれた優しくて素敵なナーン。でも、人気者のナーンは、“空にいる魚を掴むような存在”（＝このタイトルである「Fish Upon The Sky」という意味）。日本語で言えば、“雲の上の存在”。それでも、大好きなナーンのために変わろうとするのですが、ナーンの横にはいつもポーカーフェイスのモークの存在が。しかも、酔っぱらって、ナーンと間違えてキスをしてしまったモークとの写真が大学中に広まり、ＳＮＳには「モークピー」のアカウントが大盛況！　果たしてナーンへの想いは届くのか…。

　序盤はドタバタでコメディ色が強い今作も、物語が進むにつれ、芯を突いていきます。今作でピーは、これまでバカにされてきた過去のせいで劣等感をぬぐうことができず、ＳＮＳで大好きなナーンとの写真をアップするも、“よく隣にいられるね”などの誹謗中傷がコメントされ…。どんなに変わったとしても、ナーンに相応しいのは僕ではない、“僕なんか…”とネガティブに殻に閉じこもってしまうピーには、共感する人も多いはず。現代のＳＮＳの酷いバッシングに悩んだり、嘘の情報に心をかき乱されてしまうことで、目の前には乗り越えるのが難しい高い壁ばかりが…。

　好きな人の言葉だけを信じたいのに、周りの言葉に信じられなくなってしまう、今のＳＮＳ文化が発展したからこそ抱える悩みはかなり深いもの。自己肯定感の大切さ、そして相手を信じる大切さ、さらにはＳＮＳの誹謗中傷に警鐘を鳴らす作品となっているのです。

　ピーとナーン、そしてモークのメインストーリーの他に、ピーの愛すべきお兄ちゃん、デュアンのラブストーリーも進んでいきます。大学を4年で卒業できず、新入生と一緒に必修科目を履修することとなったデュアン。そこで懐いてきたミーンとの物語は、とっても初々しく、時にじれったく、ミニドラマとして展開していきます。こちらも注目ですよ。

　後半に進むにつれ、自分の気持ちに素直になること、そして好きな人を信じること、さらに、自分自身を好きになることの大切さを教えてくれる今作。10代だけでなく、幅広い世代にぜひ観てもらいたい胸キュン作品なんですが、実は今作、「2gether」「Theory of Love」の原作者であるJittiRainさんが原作を手掛けているんです。そりゃおもしろいのは間違いなし。ぜひ、観てみてくださいね。（Text ⇒ 吉田可奈）

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【DRAMA Information】

Fish Upon The Sky

現在、全12話をRakuten TVで一挙配信中！

【配信サイト】
https://tv.rakuten.co.jp/content/398558/

監督：Golf Sakon Wong
原作：JittiRainの小説
原題：「Fish Upon the Sky」
邦題：「Fish Upon the Sky」（フィッシュ・アポン・ザ・スカイ）
キャスト：ピー（Pi／Pattawee）役／プーウィン・タンサックユーン（Phuwin）、モーク（Mork）役／ナラウィット・ルートラコム（Pond）、ムン・ナーン（Muang Nan）役／サハパー・ウォンラー

©️GMMTV

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【ライタープロフィール】

吉田可奈（よしだかな）
⇒ エンタメ系フリーライター。B-PASS、awesome!、ファッション誌ほかで執筆中。『2gether』をきっかけにタイＢＬの沼にドボン。報告・連絡・相談がウルトラ下手くそなカップルに萌えますが、毎回テレビに向かって「ＬＩＮＥ使って！」と叫んでいます。オススメのタイＢＬ教えてください。@knysd1980（著書本「うちの子、へん？」発売中!!） https://www.amazon.co.jp/dp/4594084079/

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