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    2020年10月9日 「知りタイ! 教えて! タイBL」Vol.11 「Dark Blue Kiss ~僕のキスは君だけに~」

       お互いが愛し合っていれば、その愛は貫くことができるのか――。
     愛があれば、とは言いますが、そうはいかないのが恋愛です。お互いの育った環境や、家族の問題などは、残念ながら、ただ相手を好きだからという理由で超越できるものではないですよね。
     同性同士の恋愛に大きく立ちはだかる“カミングアウト”という問題や、独占欲が故に、猜疑心に苛まれたり、信じているのにまっすぐに愛情を表現出来なかったり…。そんな、愛するが故に深く悩み、もがきながら自分たちらしい生き方を見つけていく姿が描かれるドラマ「Dark Blue Kiss 〜僕のキスは君だけに〜」は、より深く人間同士の在り方、愛し方を考えさせてくれる作品となっています。


      今作は、タイで放送されたドラマ「Kiss the series」(2016年)でサブカップルとして登場し、人気を集めたピートとカオを中心に描かれていきます。裕福な家に生まれ、なんでも話せる父親のもとで育ちながら、短気で衝動的、でもまっすぐに気持ちを表現するピート(テイ・タワン)と、女手一つで育ててくれた母と、妹の生活を家庭教師のアルバイトで支えながら大学に通う、穏やかで優しいカオ(ニュー・ティティプーン)は、すべてが正反対。だからこそ、お互いが強く惹かれ合っています。


    ピート
    カオ

     すでにドラマ「Kiss Me Again」(2018年)でカップルになった後のお話なので、2人はラブラブなところからスタートします。しかし、カオがまだ母親にカミングアウトをしていないため、2人の関係は周りには内緒。とはいえ、1話から可愛くじゃれ合う姿や、プールに潜ってキスをする(ところは見られない)姿に最初から悶絶する人も多いはず。友達に内緒の関係なのに、ピートはみんなに見えそうで見えない車の中でキスを迫ったり、プールの中で見えないようにキスをしたりと、観ているこちらが思わず頭を抱えてしまうくらいの可愛らしさ…!

     しかし、なかなか母親にカミングアウトをしないカオにピートはイライラ。カオは自分が同性愛者であることで母親に心配をかけるのではと想い、ずっと言うことができないでいるのです。なんでもわかってくれる父親を持つピートには、その苦悩は伝わらず、「なぜ俺たちの関係をオープンにしないんだ」と迫ります。そんな時に、カオに言い寄るカオの家庭教師の生徒・ノンが出て来て、さぁ大変! 愛情が強めのピートは、ノンとカオが一緒にいるだけで許すことが出来ず、「会うな!」「辞めろ!」と迫りますが、そこは優しいカオ。ノンは母親の紹介から繋がった縁のため、そして、家庭を支えるお金のために、断ることができないでいます。そこで、ピートの怒りをおさめるために、「ノンとはもう会わない」という嘘をついてしまうのです。

    ノン

     大好きだからこそ、相手の言うことは聞いてあげたい。でも、それでも変えられない事情、守りたい“家族”がある。そして相手のためについてしまった“嘘”のせいで、2人はすれ違ってしまい…。優しい嘘は一体2人をどう導いていくのか――。

    ほっこりシーンもたくさんあるよ

     途中、2人のすれ違う関係は、かなり苦しく、切ない展開を迎えますが、想い合う2人が導き出す答えまでを、しっかりと確認してみてください。涙、涙の中に、本当の愛の形を感じるはずです。なによりも、タイトル通り、青を基調に描かれた映像美は相当のもの。どのシーンも美しく、とてもロマンチックなものばかり。ポストカード全集を作ってほしい!

     そして、このカップルの他に注目してほしいのが、「Kiss me again」ではカオに想いを寄せていたサンと、サンの弟の友だちであり、こちらもまた衝動的で常にケンカをしては問題を起こしているモーク。2人は始めは強く衝突…それもかなり強めに衝突しながらも、お互いのことが気になって仕方のない様子。

     しかし、よく観ていると、モークがケンカをするのはサンを守るため。サンはうっすらそれに気づきながらも、危ない目に立ち向かっていくサンに気が気じゃありません。ケンカばっかりだからこそ、2人には手当のシーンが大充実! そっと触れ合いながらも、お互いの本心を探り合っていく姿にドキドキ…。

      さらに、サンがモークへ溢れんばかりの感情をキスとして表現し、モークは戸惑い、自分への気持ちと対峙し始めるのですが、サンがここから別人のように可愛らしく変化。

     

     「Kiss me again」の時も、サンはカオに対してグイグイとアプローチをしていましたが、ものすごく積極的なタイプなのはここでも健在。それまでの威厳はどこにやら、可愛すぎるくらい露骨に愛情表現をしていくところもたまらなく…いやしかし、ギャップありすぎんか!?

     こちらのカップルも、どうなっていくのか、ピートとカオ、サンとモーク両方とも見逃せない展開になっているので、ぜひ観てみてください!

     今作は、物語の中で多くの名言が発せられます。なかでも、ピートが放つ「なんで俺たちは、他人よりいい人間だってことを証明しなくちゃならないんだろうな」という言葉が心に刺さります。同性愛者というセクシャリティであることを認めてもらう為に、いい人間であることを認めさせなくてはならないという、当事者だからこそ悩む大きな壁に真っ向から疑問をぶつけていく今作は、決してファンタジーにならない、リアルな物語を伝えてくれるのです。


     そんな「Dark Blue Kiss 〜僕のキスは君だけに〜」は、10月12日から衛星劇場にて放送を開始します。スカパー!やJ:COMでは、1話は無料で観られるようなので、ぜひ観てくださいね。


     ピートとカオのスピンオフドラマは、『Our Skyy』(連載第1回目/ https://awesomemagazine.jp/2020/07/21/rensai-thaibl-1/ )で描かれているので、そちらも要チェックです!(Text ⇒ 吉田可奈)




    【Drama Information】

    Dark Blue Kiss ~僕のキスは君だけに~

    CS衛星劇場にて 10月12日(月)23:00スタート
    ※衛星劇場はスカパー!、J:COMや全国のケーブルテレビ局、 ひかりTVなどの視聴サービスを利用して視聴できます。
    https://www.eigeki.com/

    全12話

    監督:Aof・ノファナック

    出演:テイ・タワン ニュー・ティティプーン ポッド・スファコン フルーク・ギャウィン AJ・チャヤホール プルーム・ポンピサル プロイ・パチャトーン

    © 2019 GMMTV COMPANY LIMITED. All Rights Reserved.
    提供:アジア・リパブリック13周年



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    【ライタープロフィール】

    吉田可奈(よしだかな)
    ⇒ エンタメ系フリーライター。B-PASS、awesome!、ファッション誌ほかで執筆中。『2gether』をきっかけにタイBLの沼にドボン。報告・連絡・相談がウルトラ下手くそなカップルに萌えますが、毎回テレビに向かって「LINE使って!」と叫んでいます。オススメのタイBL教えてください。
    @knysd1980(著書本「うちの子、へん?」発売中!!)
    https://www.amazon.co.jp/dp/4594084079/

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