新日本プロレス YOH連載『プロレス思考漂流』【第3回:子供の頃の遊び】
awesome! WEBにて連載中の、新日本プロレス所属プロレスラー YOHの『プロレス思考漂流』。この連載では、プロレスラーとしての優れた技巧と、人を惑わせる突飛な発想力を持つYOH選手の思考回路を覗き見るため、さまざまな企画に挑戦してもらいます。
第3回では、幼少期を思わせる空間でYOH選手の子供の頃についてお話をうかがいました。
さらに、10月30日発売の雑誌『awesome! Plus Vol.51』より、YOH選手によるコラム連載がスタート! こちらも併せてご注目ください。


■YOH選手はどんな子供でしたか?
「非常に親の言うことを聞かない子供でした。親が厳しかったんですよ。テレビゲームに関しては1日20分の縛りがあって、『ドラクエ』は装備している間に20分が終わっちゃうので、洞窟にすら辿り着けないという過酷な状況で(笑)。でも、クラスに絶対、親に何でも買ってもらえる友達っているじゃないですか。そいつがゲームを揃えていたから、ゲームはだいたい友達の家に遊びに行った時にたくさんやっていましたね」
■親の言うことを聞かないというのは、例えばどんなことを?
「“勉強しなさい”はそうですけど。学校で勉強を教えてもらっても、わからなかったんです。で、“塾に行きたい”と言っても、うちの親は塾に反対だったんですよ。塾といっても友達が行っているからって理由ですけど、それも行けず、書道教室だけ毎週1回通ってたかな」
■連載のロゴはYOH選手に描いてもらいましたが、字がお上手でした。書道教室は大学生の頃にも通っていたとか。
「大学生の時は、まずノートをとるということをずっと忘れていて、久しぶりに字を書いてみたら、自分の字が読めなかったからです。これはマズイと、近くに書道教室があったので2週間に1回くらいですけど通っていました」

■子供の頃にやっていたゲームは、例えばどんなソフトでしょうか。
「僕らの時はロクヨン(NINTENDO 64)だったので、みんなでできる『大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ』とか、『みんなのGOLF』もやってましたね。各々ソフトを持ち込んでいたので、プロレスのゲームもやりましたよ。ファミコンだったら『キン肉マン』のゲームと、スーファミは『ファイヤープロレスリング』とか。一番ハマったのは『エキサイティングプロレス』っていうWWE(アメリカのプレス団体)がモデルのゲーム。あれはシリーズを通して5まではやっているはずです。それでもやっぱり、2時間くらいするとゲームに飽きてくるんですよ。で、お外で遊ぶっていう」
■外ではどんな遊びを?
「本当に何もない田舎に住んでいたので、田んぼとか畑をやっている友達の家で遊ぶんです よ。当時は僕らのなかでボクシングが流行っていたので、自作で四つ角に柱を立てて、畑に作ったリングで本気でボクシングしてました。僕が地元(宮城県栗原市)を離れて仙台に行く時には、みんなで“涙の別れ”っていう看板を作って、男たちのボクシングパーティーをやったんですよ。6人くらいのトーナメント制で、グローブをつけて本気で殴り合うという(笑)。最後は抱き合って別れました」
■熱い話ですね。
「地元の友達とは今でも連絡とってます。今でも、“お前がプロレスラーだろうが、有名になろうが、お前はお前だから”っていうなかなか熱いメンバーがそろってました」

■プロレスごっこはまだしていなかったんですか?
「プロレスは学校の教室とか体育館とか、柔道場でやりましたね。マットがあるところがいいので。僕が一番プロレスに詳しくて、周りはちらほら知ってるヤツが数人いる感じだったので、その友達を巻き込んでやっていました」
■その時から好きだった技は?
「僕はやっぱりスーパーキック。WWEのショーン・マイケルズ選手のフィニッシャーが、“スウィート・チン・ミュージック”っていうスーパーキックなんですけど、それが好きでよくやっていました。『エキサイティングプロレス』をやっていたこともあって、アメプロの技をよくやってたなぁ。トリプルHの“ペディグリー”とかね。ああいうのを使っていました」

■入場のマネをすることもありましたか?
「そのあたりは高校生になってからやってましたね」
■“涙の別れ”のあと、プロレスラーを目指してレスリング部のある仙台の高校に進学していますからね。
「はい。高校に入ってからはレスリング場があるので、いつでもできるんですよ。プロレスごっこと言っても、もっとコアで、ハードな遊びになっていくんです。試験期間中になると“勉強合宿”といって道場で寝泊まりしていて、練習が終わると勉強をするための会議用のテーブルが出てくるんです。でも、勉強するヤツなんていないので“やっていいんだな”って(笑)、TLCマッチが始まるんですよね。そこで“3D”っていう、ダッドリー・ボーイズのタッグフィニッシャーをやってました。これが気持ちいいんですよ。1人がフラップジャックで担いで、もう1人が相手に飛びついてカッターする技なので“テンコジカッター”と同形なんですけど、そのフィニッシャーが好きでしたね。“3K(ROPPONGI 3Kの合体技)”のもとになっていますから」

■遊びでやっていたことが生業になっているわけですが、そんな今は何をして遊ぶことが多いんですか?
「趣味として気分転換でやっているのは、家のなかでできることですかね。昨日もパンツの裾上げをしてましたから。あと、最近はセイコーの昔の時計を揃えてたかな。今、着けているオレンジモンスターの初期のものとか」
■今は主にひとり遊びになっているんですね。
「1人か、こっちに唯一の友達がいるので2人ですね。もともとそんなに大人数で群れないんです。レスリング部の時も部員が30人いるうちのプロレス好きだった4、5人くらいで、小学校とか中学校の時もそのくらいの人数でしたし。でも、もともとそういう気質なのもあるんでしょうね。社交的ではないし、オタクなんですよ」

■遊んでいたことが仕事になったとは言っても、プロレスラーになるには相当な努力と忍耐が必要ですよね。特に新日本プロレスでの練習生時代は、自由に使える時間が少なかったと思いますが、そんな状況でもできていた遊びはあるんですか?
「ちょうど、僕と田中くん(田中翔)は時代が変わる境目の世代だったんですよ。今みたいにアットホームになる前の、いわゆるバリバリの新日本プロレスって感じで、外出は禁止だから道場と寮の往復。入門してからは“ちょっとでも外に出たい”という気持ちがあったから、隙があったら近くのコンビニに行ってました。遊びって余裕がないとできないじゃないですか。デビューまでは余裕がなかったですね」
■海外遠征にいっている間はどうでしたか?
「メキシコの時は試合数が多くて、宿舎の近くのジムにリングがあったので、そこでひたすらプロレスの練習ができました。アメリカにムーブしてからは試合が月に1、2回になっちゃって、1ヵ月ないこともあったんですけど、そういう時はメキシコに戻って、リングを使ってトレーニングしていましたね。電車でニューヨークに行ったり、1人でペルーに行ったこともありました」

■YOH選手には自由そうなイメージがありますが、どちらかと言うと、縛りがあるなかで自分なりの遊びことを見つけてきたのかもしれないですね。
「そうですね。レスリング部に入っちゃうと、高校から縛りがあるわけですよ。大学はレスリング部専用の寮だったので独自のルールがあって、平日は夜10時、土日祝日は夜9時に必ず点呼があるんですよ。その時に絶対に寮にいないといけない。どこかに遊びに行っていても、その時間までに戻っていないといけなくて。後楽園ホールで夜6時半スタートの興行があっても、寮の点呼に間に合わないから行けないんですよ。両国(国技館)で3時、4時開始の時に何回か行っているくらいで、プロレスもあんまり観にいけない。だからレスリング場で練習のあとにプロレスごっこをするみたいな、そういう感じになっちゃいますよね」
■今はその反動もありますか。
「それもあるかもしれないです。遊ぶ時は全力で遊んでいたので、その時のマインドが今につながっていると思います。“遊ぶように闘う”っていう、今年のスーパージュニア(BEST OF THE SUPER Jr.33)の時のテーマは、今でもそのまま活きている感じです」

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Photo 稲澤朝博
Text 千々和香苗
Costume Self Styling
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10月30日発売の『awesome! Plus Vol.51』では、YOH選手のコラムを掲載!
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▼詳細はこちら
https://awesomemagazine.jp/2026/10/26/awesome-plus-vol-51/

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【プロフィール】
YOH
よう。1988年6月25日生まれ。宮城県栗原市出身。新日本プロレス所属プロレスラー。2012年11月19日、SHIBUYA-AXでの渡辺高章戦でデビュー。主な戴冠歴・優勝歴は、IWGPジュニアヘビー級王座、IWGPジュニアタッグ王座、NEVER無差別級6人タッグ王座、『Super Jr. Tag Tournament 2017』、『Super Jr. Tag League2018』、『SUPER Jr. TAG LEAGUE 2019』、『SUPER Jr. TAG LEAGUE 2022』。2026年6月7日、大田区総合体育館大会での『BEST OF THE SUPER Jr.33』決勝戦では、2年連続の決勝カードとなる相手・藤田晃生を撃破して悲願の初優勝。同年6月14日、大阪城ホール大会でIWGPジュニアヘビー級王座戦に挑戦し、第100代王者として王座初戴冠を果たした。
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